書籍、CD、DVD、映画など

2019年9月18日 (水)

ウィーンこだわり旅ブック Ein Reisebuch von Wien mit den auserlesenen Empfehlungen

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今年8月刊行の、最新事情のウィーン、取材は3月らしい。
本書には、いわゆる観光地情報はほとんど掲載されていない。
前半に取り上げられている情報は既存のガイドブックに少しは重なるが、後半は比較的最近オープンしたお店やカフェがメインである。
なので、初めてウィーンに行く人向きではなく、何度か行っている人向きであるが、それだけに、著者と好みに合わない人にはハズレになるかもしれない。

表紙には日本語タイトルのほかに「Ein Reisebuch von Wien mit den auserlesenen Empfehlungen」と、ドイツ語タイトルもあるし、目次もドイツ語表記もある。
けれど、本文の各項目のタイトルは独英混在だったりするところもある。
たとえばオットー・ヴァグナーの郵便貯金局は「Österreichische Postsparkasse」だが、カールスプラッツ駅舎は「Karlsplatz Station」である。
シュタットバーンのカールスプラッツ駅の西駅舎は現在は駅舎としては使われておらず、西駅舎の現在名は本書にある通り「Otto Wagner Pavillon am Karlsplatz」である。
だが、著者は、駅だっとことを強調したかったのかもしれないが、「Der alte Stadtbahn-Bahnhof am Karlsplatz」だと長すぎるか。
あるいは「Wotruba Church」は、「Kirche zur Heiligsten Dreifaltigkeit」ではなくてもいいけれど、「Wotrubakirche」にしておいてほしい。

巻末にマップがあり、掲載されている建物やお店などの場所がわかる。
一部、地図のエリア外の情報もあり、それは地図には載っていない。
所在地とURLは載っているので、気になれば探すことは可能。
ただし、いずれもアクセス方法は載っていない。
まあ、大抵は歩いていけるところにあるけれど。

本文が始まる前に「Fliegen Sie mit ANA nach Wien.」という記事が4ページあるので、ANAがスポンサーになったのかもしれない。

1 Gebäude in Wien erkundigen / ウィーンの建築探訪
2 Auch mal einen Firmenbesuch wagen / 会社訪問をしてみる
3 Das alltäglich Leben in Wien / ウィーンの暮らし いつもの暮らし
4 Am Wochenende muss man auf den Flohmarkt gehen! / 週末は絶対蚤の市!
5 Verschiedene schöne Gemischtwarengeschäfte / 雑貨ショップいろいろ
6 Köstliche Mahlzeiten und Caffé / 美味しいご飯とカフェ
7 Brot, Kaffee und Desert / パンとコーヒーとスイーツも
8 Das Hotel auch ein wichtiger Punkt / ホテルも大事なポイント

塚本太朗/著
産業編集センター
https://www.shc.co.jp/book/11097

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2019年9月17日 (火)

マルクスのかじり方

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10年ほど前、「蟹工船」がブームとなった。
その背景には、当時の「格差社会」があった。
それからの世の中はどうか。
「格差」は決して解消していないし、むしろ現政権が「この国から非正規という言葉を一掃する」と言わざるを得ない状況となっている。
現政権は、10年前の状況が固定し、再生産されていることに気づいたのかもしれない。
しかし、ここ数ヶ月で、あっという間に特定の国に対する排外的思潮が蔓延してしまっている。
地下に流れていたものが一挙に噴出したのだとしたら、この国の戦後史は何だったのだろうと暗澹たる思いになてしまうが、もしかしたら「格差」=内憂を「嫌韓」=外患に転化して目をそらさせようとしているのかもしれない。
さらに、台風15号に対する国の対応を見ていると、『憲法に「緊急事態条項」がないから、こんなことになっているんだ』ということを宣伝・拡大するための謀略が進行中と思いたくなってきた。
何れの状況から見えてくるのは、「棄民」だ。
本書は、「蟹工船」ブームの少しあとの「若マル」ブーム時代の書籍であるが、10年後のいま、読み継がれているのだろうか。
手にしているのは2018年2月の4刷、続いてはいるようだ。

さて、本書は学生を対象とした「マルクスのかじり方」であるが、基本中の基本として「いかにマルクスをかじるか」が押さえられているのだが、マルクスをかじったらどんな味がしたかを示す入門書ではない。
そして、マルクス自身を、成長しつつ様々な著作(原稿だけのもあるが)を残した人だということこを若い人たちに示したことがミソだろう。
ということで、主要な著作の執筆年齢をまとめてみる。
ライン新聞での活動:24~25歳
ユダヤ人問題に寄せて:25歳
聖家族:26歳
ド・イデ:27歳
共産党宣言:30歳
新ライン新聞での活動:30歳
フランスにおける階級闘争:30~32歳
ルイ・ボナパルトのブリュメール18日:34歳
経済学批判:41歳
賃金、価格および利潤:47歳
資本論第一部:49歳
フランスの内乱:53歳
ゴータ綱領批判:57歳
死去:64歳

はじめに
Ⅰ いまマルクスがおもしろい
 1 自信を持って生きるために
 2 若いマルクスのバイタリティー
 3 「ものの見方」について
 4 資本主義ってなんだろう
 5 よりましな社会へ
 6 共産主義ってどんな社会
 7 マルクスをどう読むのか
ちょっとブレイク わたしの学生時代の思い出から
Ⅱ もう少しマルクスを知る―その生き方、理論
 1 マルクス超入門
 2 生まれた時代と若い頃
 3 マルクスが積み上げた科学の特徴
 4 成長への努力をやめない
 5 マルクスの目で現代を見ると
 6 読むことで開発される能力がある
ちょっとブレイク 学問の楽しさ感じて
Ⅲ 少しかじってみよう

石川康宏/著
新日本出版社
http://www.shinnihon-net.co.jp/general/detail/code/978-4-406-05464-5/

 

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2019年9月16日 (月)

希望のかたわれ

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ひょんな経緯で、訳者から本書をいただくことになった。
内容は重たそうなのですぐには読まないでいたのだが、そういつまでも積ん読状態でいるのはいかがなものかということで読み始め、数多い(紹介ページは2ページにわたる)登場人物のことがおおむね理解できた中盤あたりから、一挙に読み進むことになってしまった。
時間軸と空間軸が交差しながら話が進行していく手法は本書ばかりではないが、本書ではさらに手記というかたちで「過去」が絡んでいる。
その「過去」も、現在進行形の話に収斂する。
チェルノブイリへの対応、モスクワがどこまで知っていてどのような対応を指示したのか、現地がどこまで状況を把握し対応しようとしたのか。
そして、モスクワや現地は、住民たちにどう対応したのか。
そこに、スターリン時代やブレジネフ時代の影響が残っていたのかどうか。
ブレジネフの死去が1982年11月10日、その後アンドロポフ、チェルネンコと短命の書記長が続き、ゴルバチョフの書記長就任が1985年3月11日。
チェルノブイリ原子力発電所の事故は、1986年4月26日。
当時、中央地方のほとんどの指導部の人たちの頭の中には、政治状況の揺り戻しについてチラチラしていたのではなかろうか。
そう思いながら、千葉や伊豆諸島での15号台風による被害、そして対応、「棄民」という言葉が頭のなかをぐるぐる回る。

ヨーロッパの街を歩くと、それらしきエリアがあったり女性が立っていたりするのをよく見ることがあるのだが、職業として認められているといっても、その背景にあるものを見ないで、認められているからOKではいかんのじゃないか。
韓国との問題にしても、強制か自由意志かの問題じゃない。
人として許せるの?、だと思うのだが。
西ヨーロッパにとっての東ヨーロッパは、日本にとってのアジアか。

「希望のかたわれ」、原著タイトルは「DIE ANDERE HÄLFTE DER HOFFNUNG」、直訳的には「べつの半分の希望」ということになるのだろうが、「かたわれ」にしても「べつの半分」にしても、それはなんだ?
手記には、いろいろなところで「希望」について書かれている。
数々の「希望」のうしろには数々の「絶望」があるのだろうが、もうすぐ観ることができる遅筆堂のお芝居には「絶望するな!」と叫ぶシーンがあって、「希望」には裏切られルカもしれないけれど、「絶望」だけは御免こうむりたい。

それにしても、まとまらない、まとめられない。
なので、「ロシア人の名前、覚えにくい」としておこう。

なお、萩尾望都さんが「私が薦める河出の本」に本書を書いている。
http://web.kawade.co.jp/sp130th/524/

メヒティルト・ボルマン/著
赤坂桃子/訳
河出書房新社
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309206813/

 

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2019年9月14日 (土)

みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ―線の魔術

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Bunkamura ザ・ミュージアムに見に行った展覧会のカタログ。
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2019/07/post-5d4b49.html

マンガとの関連というテーマであるからなのだろうが、スラヴとの関係、チェコとの関係が、いまひとつ。

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展覧会の記事に「さすがに、横浜元町のパン屋さんの袋はなかった。」と書いたが、そのパン屋さんの袋はこれ。

ごあいさつ
メッセージ
ミュシャからマンガへ:ミュシャ様式とふたつのアール・ヌーヴォー 佐藤智子
第1章 序 ミュシャ様式へのインスピレーション
    ミュシャの装飾文様と日本の七宝について 畑智子
第2章 ミュシャの手法とコミュニケーションの美学
第3章 ミュシャ様式の「言語」
    1900年代初頭のミュシャとクリムト 中村暁子
第4章 よみがえるアール・ヌーヴォーとカウンター・カルチャー
    ミュシャからマンガへ―線の魔術 ジョー・ケサダ
    ミュシャと私(英米編)
第5章 マンガの新たな流れと美の研究
    日本ミュシャ事始め―白馬会周辺から 三谷理華
    明治期のミュシャ様式文芸誌群と言文一致 大塚英志
    ミュシャと私(日本編)
作品解説
関連年表
Sections
Welcome to Much to Manga: The Magic of Line. Joe Quesada
作品リスト
ミュシャ国内文献一覧
Select Bibliography
Mucha Exhibitions Organised by the Mucha Fouondation

日本テレビ放送網
https://www.ntvshop.jp/shop/g/g210-yc00088/

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2019年9月12日 (木)

三題噺

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ずっと以前に本棚に置いておいたのだが、そのままになっていた。
春にプラハに行ったことでもあり、読んでみようと手に取る。

解説によれば、本書は「フランス文学研究」から「日本文学史研究」への転換点に位置する作品だという。
評論の世界ではよくお目にかかることはあっっても、小説の世界の加藤周一氏はほとんど知らなかった。
それぞれの文体の妙は、文章となる前の加藤周一氏の頭のなかから生まれてきたものだとしたら、そこにはいったいどれだけの蓄積があるのだろうか。
「日常」「官能」「知」を、三人の人物を描く短い文章に込めた加藤周一氏の意図が伝わってきたかといえば、題材とした人物のことを知らないので、難解としか言いようがない。
「付」の湯川秀樹氏との対談は、60年代を彷彿とさせて興味深かった。

詩仙堂志
狂雲森春雨
仲基後語
あとがき

 二人一休
 言に人あり―湯川秀樹氏と
解説 鷲巣力

加藤周一/著
筑摩書房
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480426710/

 

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2019年9月11日 (水)

長田弘詩集

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1968年の「長田弘詩集」(思潮社 )の再刊ではなく、79編は「メランコリックな怪物(定本)」(1979)、「言葉殺人事件」(1977)、「深呼吸の必要」(1984)、「食卓一期一会」(1987)、「心の中にもっている問題」(1990)、「世界は一冊の本」(1994)、「小道の収集」(1995)、「記憶のつくり方」(1998)から長田さんが選び再編集したもので、2003年の刊行、ただし本書は2015年の第五刷。
ここの詩は、どこかで読んでいる。
忘れていたのもあるけれど。
それぞれの詩には初出は示されていないが、巻末に、初出一覧がある。
巻頭に、「ファーブルさん」の抜粋が、あべ弘士さんのイラストともに、ある。
すべて一日に読んだのは、ひとつかふたつ。

いまの「憎」の蔓延している世の中を見たら、長田さんはどんな言葉を書くだろうか。

zero
 最初の質問(小道の収集)
one
 おおきな木(深呼吸の必要)
 散歩(深呼吸の必要)
 原っぱ(深呼吸の必要)
 隠れんぼう(深呼吸の必要)
 驟雨(深呼吸の必要)
 あのときかもしれない(二)(深呼吸の必要)
 あのときかもしれない(四)(深呼吸の必要)
 あのときかもしれない(九)(深呼吸の必要)
 夏の物語―野球―(心の中にもっている問題)
two
 ねむりのもりのはなし(心の中にもっている問題)
 ひとはねこを理解できない(言葉殺人事件)
 スラップスティック・バラード(言葉殺人事件)
 逆さ男のバラード(言葉殺人事件)
 探偵のバラード(言葉殺人事件)
 ひとの歯のバラード(言葉殺人事件)
 殺人のバラード(言葉殺人事件)
 ものがたり 1(言葉殺人事件)
 ものがたり 2(言葉殺人事件)
 言葉の死(言葉殺人事件)
three
 探した―子供たちのように1(メランコリックな怪物(定本))
 叫んだ―子供たちのように2(メランコリックな怪物(定本))
 おぼえたこと―子供たちのように3(メランコリックな怪物(定本))
 海をみにゆこう―子供たちのように4(メランコリックな怪物(定本))
 黙った―子供たちのように5(メランコリックな怪物(定本))
 キャベツのための祈り(心の中にもっている問題)
 クロワッサンのできかた(食卓一期一会)
 サンタクロースのハンバーガー(食卓一期一会)
 アップルバターのつくりかた(食卓一期一会)
 ショウガパンの兵士(食卓一期一会)
 日曜日(心の中にもっている問題)
 ライ麦の話(心の中にもっている問題)
 ブドー酒の日々(食卓一期一会)
four
 テーブルの上の胡椒入れ(食卓一期一会)
 何かとしかいえないもの(食卓一期一会)
 それは(心の中にもっている問題)
 タンポポのサラダ(心の中にもっている問題)
 きみにしかつくれないもの(食卓一期一会)
 ジャムをつくる(食卓一期一会)
 ドーナッツの秘密(食卓一期一会)
 ラヴレター(メランコリックな怪物(定本))
 一年の365分の1(心の中にもっている問題)
 静かな日(心の中にもっている問題)
 立ちどまる(世界は一冊の本)
 ことば(世界は一冊の本)
five
 幸福なメニューのバラード(言葉殺人事件)
 海辺のレストラン(言葉殺人事件)
 殺人者の食事(言葉殺人事件)
 シャシリックのつくりかた(食卓一期一会)
 朝食にオムレツを(食卓一期一会)
 絶望のスパゲッティ(食卓一期一会)
 カレーのつくりかた(食卓一期一会)
 ピーナッツスープのつくりかた(食卓一期一会)
 ユッケジャンの食べかた(食卓一期一会)
 パソグラフィー(言葉殺人事件)
 嘘のバラード(言葉殺人事件)
 ひつようなもののバラード(言葉殺人事件)
six
 誰が駒鳥を殺したか(言葉殺人事件)
 パイのパイのパイ(食卓一期一会)
 働かざるもの食うべからず(食卓一期一会)
 キャラメルクリームのつくりかた(食卓一期一会)
 五右衛門(世界は一冊の本)
seven
 ファーブルさん(世界は一冊の本)
 ぼくの祖母はいい人だった(食卓一期一会)
eight
 少女と指(記憶のつくり方)
 橋をわたる(記憶のつくり方)
 ひそやかな音に耳澄ます(小道の収集)
 階段(記憶のつくり方)
 神島(記憶のつくり方)
 ルクセンブルクのコーヒー茶碗(記憶のつくり方)
nine
 言葉のダシのとりかた(食卓一期一会)
 おいしい魚の選びかた(食卓一期一会)
 梅干しのつくりかた(食卓一期一会)
 冷ヤッコを食べながら(食卓一期一会)
 イワシについて(食卓一期一会)
 コトバの揚げかた(食卓一期一会)
 かぼちゃの食べかた(食卓一期一会)
 天丼の食べかた(食卓一期一会)
 ふろふきの食べかた(食卓一期一会)

長田弘/著
角川春樹事務所
http://www.kadokawaharuki.co.jp/book/detail/detail.php?no=1789

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スターリニズム

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わかっているようで、しかし、それぞれの論者によって定義づけられているのでますますわかりにくくなっている「スターリニズム」、これはいったい何なのだ?
著者グレイム・ギルは、「スターリニズム」を「経済」「文化」「社会」「政治」の「四つの相貌」から、その起源や内実を論じ、コンパクトにまとめている。
ガチガチの全体主義だろうとの先入観であまり眼がいくことのなかった、中央と地方との関係、中央による地方や下部組織に対する統制の弱さという指摘は興味深い。
むろん中央の統制が弱いことが民主的だったとか自由だったとかいうことにはならず、地方は地方でミニ・スターリニズムの社会だったのだろう。
国土の広さとインフラの未発達が影響していたのかもしれない。
だとしたら、シベリア抑留でのそれぞれの地方での思惑とモスクワの思惑とは、どのようなものだったのだろうか。
そしてこの指摘は、「全体主義」を考える上で、ファシズムやナチズムと同じようにスターリニズムを置いていいのかという問題提起にもなるだろう。

この中央と地方との関係は、ベトナム戦争でも論じられたことがあることを思い出した。
「ハノイ対話」でのプレイク事件(1965年2月7日のベトナム中部のブレイク空軍基地に対する解放戦線による攻撃)をめぐるやりとりで、「我々はなぜ戦争をしたのか―米国・ベトナム 敵との対話」で触れられている。
アメリカ側は、ブレイク攻撃を北ベトナムによる挑発であり、ハノイからの指令に基づく攻撃であるととらえたのだが、「ハノイ対話」においてはベトナム側から現地司令官が計画し実行された作戦であると言明された。
当時の解放戦線側においては米軍が持っていたよう指揮命令系統・手段は整備されておらず、「自分たちと同じような指揮命令系統を解放戦線も持っていたはずで、すべてハノイからの指令によって作戦が行われた」とするアメリカの判断はとんでもない誤解であるというやりとりであった。
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-1d9f.html

スターリニズムの要素は、P.86に7点がまとめられている。
(1) 制度上は高度に中央集権化された司令経済システム。大衆動員と重工業発展の最大限の重視を特徴とする。
(2) 初期の段階では、大々的な流動を特徴とした社会構造。なかでも特筆すべきは、かつての下層階級を権力と特権ある地位に引き上げた高水準の社会的流動。その後、社会は安定し、等級や地位、厳格な上下関係が支配する社会構造へと帰結。
(3) 文化的、知的領域では、すべてが指導部の定める政治的目的に奉仕すべきであるとされ、文化的、知的活動の全分野が政治的監視を受けた状態に置かれる。
(4) 当地の手段としてテロルを用いた個人独裁。ここでは、政治組織はほとんど独裁者の道具以上の何物でもなかった。
(5) 国家にとって重要と見なされる限りで、あらゆる生活領域が政治化される。
(6) 権力の中央集権化と、その反面に見られた中央からの日常的統制の著しい弱さ。その結果、実際には日々の活動が厳格な統制を受けず、組織化もされていないシステムが出来上がった。
(7) 初期の革命的な価値規範は、保守的で現状維持の志向によって取って代わられた。
そして「四つの相貌すべてを備えたスターリニズムの登場にとって最も重要だったのは、一九二〇年代末から一九三〇年代初頭にかけての「上からの革命」と一九三〇年代後半のテロルであろう」(P.89~90)とする。
さらに「後進性」と「指導者たちの個人的選択」についての検討となる。

「大テロル」の論考で、NKBDに関して、「存在意義を強く主張しようと躍起になっていた」(P.44)ことで、「敵の摘発を通じて今まで以上に目立つ存在となるばかりか・・・大勢の指導機関として君臨できるから」(P.47)「大テロル」で役割を担ったというように記されているが、NKBD長官のエジョフやベリヤが「大勢の指導機関として君臨」することを考えていた、ということなのだろうか。

ソ連邦が崩壊しロシア連邦となったからといって、「スターリニズム」がなくなったわけではないだろう。
現代ロシアとスターリニズムとの関係も、考えていかなければならない課題なのだと思う。
そして、「経済」「文化」「社会」「政治」の「四つの相貌」から嫌韓な我が国を見たとき、どんな評価をすることができるだろうか。
さらに、奇しくもきょうは9.11。
以前ノーマンメイラーは、アメリカが全体主義に向かいつつあると言ったようだし、鶴見さんもどこかでアメリカの知人にそのようなことを言われたことがあるとか言っていたが、「アメリカ・ファースト」なアメリカは、どう評価できるだろうか。

第二版への序文
判例
第1章 スターリニズムの歴史的起源?
 1 ロシアの後進性
 2 レーニン主義
 3 人格的要因
第2章 スターリニズムの確立
 1 「上からの革命」
 2 文化革命
 4 社会的流動
 4 大テロル
 5 スターリニズムの政治
 6 外国の脅威?
第3章 大戦と盛期スターリニズム
 1 戦時経済
 2 文化的動員
 3 戦時の社会
 4 戦時の政治
 5 盛期スターリン経済
 6 戦後の社会
 7 戦後の文化
 8 政治的相貌
 9 国際的スターリニズム
第4章 スターリニズムの特質
 1 起源の問題
終章 スターリニズムの遺産
 1 公的な場でのスターリニズム
 2 スターリニズムの構造上の帰結)
訳者解説
参考文献・日本語文献案内
関連年表
索引

グレイム・ギル/著
内田健二/訳
岩波書店
https://www.iwanami.co.jp/book/b257739.html

 

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2019年9月10日 (火)

わたしで最後にして ナチスの障害者虐殺と優生思想

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日本障害者協議会代表などをなさっている藤井克徳さんが、障害者差別や優生思想について、歴史や現状、そしてこれからのことを簡潔にまとめている。
「ノーマライゼーション」が日本でも言われて久しいが、この国で使われている「ノーマライゼーション」は、ちと違うのではないかと思ってしまう。
既存の社会の枠組みに「障害者(そして外国人その他)を迎えてあげよう」的な「ノーマライゼーション」なのである。
そして、「既存社会のありようは変えない」という但し書きが付いている。
鳴り物入りで登場した「障害者自立支援法」も、そうだ。
枠組みありき制約ありきの中での「自己決定」。
どうも、「reasonable accommodation」が「特権」であるかのような理解がなされているようにも見える。
「Nothing about us without us!」が置き去りにされている、ということだ。

「障害者の権利に関する条約」にしても、この条約に込められた理念は、障害者「だけ」に適用されるというものではない。
国会議員や自治体首長・議員らによる差別的発言(対象は障害者に限らず外国人などマイノリティ、あるいは女性)は、こうした人たちが障害者権利条約を知らない、理解していないことを如実に示している。

Convention on the Rights of Persons with Disabilities
https://www.un.org/development/desa/disabilities/convention-on-the-rights-of-persons-with-disabilities.html

障害者の権利に関する条約(和文)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/hr_ha/page22_000899.html

きょうされんの本書紹介記事。
http://www.kyosaren.or.jp/book/6690/

第1章 オットー・ヴァイトとの出会い
第2章 殺された障害者は20万人あまり
第3章 優生思想は多くの国々で、 そして日本でもはびこった
第4章 優生思想に対峙する 障害者権利条約
第5章 やまゆり園事件と障害のある人の今
第6章 私たちにできること

藤井克徳/著
合同出版株式会社
http://www.godo-shuppan.co.jp/book/b474135.html

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2019年9月 9日 (月)

日米地位協定 在日米軍と「同盟」の70年

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「諸悪の根源」とまでは言わないにしても、主権が損害されていることが当たり前であることは、たぶん本土にあってはなかなか気付けないのだろう。
今住んでいるところの近くにも実家の近くにも米軍基地は当たり前のように存在し、米軍も「それなりに」地域とうまくやっていこうとしている風には見える。
けれど、いざというときには豹変する。
9.11のときがそうだ。
ゲートには装甲車が置かれ、装甲車に装備された機関銃の銃口は、外に、つまり私たちのほうに向けられていた。

著者は、「日米安保条約を支持する立場」(P.214)と明言しているが、その立場は立場としても、地位協定の歴史をたどり、外国の例も踏まえながら、協定、そしてその背後にある「日米地位協定合意議事録」に様々な問題があることを明らかにする。
日米安全保障条約と地位協定の成立過程も、「日米安全保障協定」が1951年1月25日にダレス国務省顧問が対日したときに日本側から示されたこと、その対案が翌日米国柄示されたこと、日本は修正案を提示、米国は2月6日に日米行政協定案を提示した、というプロセスがある。(P.9~12)
最初に案を提示したのが日本であった、これは本書で初めて知った。
また、歴史の中で、日本から改定に向けた提起をする機会はあったのに、その機会をみすみす逃したこと、アメリカの国務省、国防省・米統合参謀本部の協定を担当する部署の体制の貧弱さなど、地位協定を改定していく道筋は前途多難であるのだろうと考えざるをえない。

そして、日本がジブチと締結している「地位協定」についても、知っておく必要があるのだろう。
日米地位協定では、日本で米兵が事件・事故を起こした場合には、公務と公務外を分け、公務外の事件・事故については、日本側で一応第一次裁判権を行使できるようになっている。
しかし、ジブチでは、公務・公務外の区別なく、ジブチには裁判権はない。
ジブチ共和国における日本国の自衛隊等の地位に関する日本国政府とジブチ共和国政府との間の交換公文
8 日本国の権限のある当局は、ジブチ共和国の領域内において、ジブチ共和国の権限のある当局と協力して、日本国の法令によって与えられたすべての刑事裁判権および懲戒上の権限をすべての要員について行使する権利を有する。
 9(a) 民間又は政府の財産の損害又は滅失に関する請求及び人の死亡又は傷害に関する請求は、当該請求の当事者間の協議を通じて友好的に解決する。
  (b) 友好的な解決に達することができない場合には、その紛争は、両政府による協議及び交渉を通じて解決する。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/pirate/pdfs/djibouti.pdf

はじめに
第1章 占領から日米安保体制へ―駐軍協定
第2章 60年安保改定と日米地位協定締結―非公表の合意議事録
第3章 ヴェトナム戦争下の米軍問題―続発する墜落事故、騒音訴訟
第4章 沖縄返還と膨大な米軍基地―密室のなかの五・一五メモ
第5章 「思いやり予算」の膨張―「援助」の拡大解釈
第6章 冷戦以後の独伊の地位協定―国内法適用を求めて
第7章 沖縄基地問題への注目―度重なる事件、政府の迷走
終章 日米地位協定のゆくえ―改定の条件とは
あとがき
参考文献
付録 沖縄県による日米地位協定見直し要請/日米地位協定/日米安全保障条約(新)
日米地位協定 関連年表

山本章子/著
中央公論社
http://www.chuko.co.jp/shinsho/2019/05/102543.html

 

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2019年9月 8日 (日)

ZARD Forever Best~25th Anniversary~

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持っていたのだけれど、「ZARDよ永遠なれ 坂井泉水の歌はこう生まれた」なんてテレビ番組を見てしまったので、あらためて聞くことにした。
https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/92405/2405248/index.html
一挙には聴かず、ボチボチと聴いていた。

ディスク:1
 1. Don’t you see!
 2. マイ フレンド
 3. この愛に泳ぎ疲れても
 4. Good-bye My Loneliness
 5. WAKE UP MAKE THE MORNING LAST ~忘れがたき人へ~
 6. 君に逢いたくなったら…
 7. 息もできない
 8. 今すぐ会いに来て
 9. ハイヒール脱ぎ捨てて
 10. Forever you
 11. 明日を夢見て
 12. 翼を広げて
 13. 愛は暗闇の中で featuring Aya Kamiki

ディスク:2
 1. 星のかがやきよ
 2. 夏を待つセイル(帆)のように
 3. 君がいない
 4. 心を開いて
 5. 揺れる想い
 6. 素直に言えなくて featuring Mai Kuraki
 7. Oh my love
 8. 雨に濡れて
 9. I still remember
 10. 来年の夏も
 11. あなたに帰りたい
 12. 愛が見えない
 13. 果てしない夢を

ディスク:3
 1. かけがえのないもの
 2. 遠い星を数えて
 3. 風が通り抜ける街へ
 4. DAN DAN 心魅かれてく
 5. 突然
 6. Today is another day
 7. Season
 8. 眠れない夜を抱いて
 9. こんなにそばに居るのに
 10. 永遠
 11. サヨナラは今もこの胸に居ます
 12. 眠り
 13. あの微笑みを忘れないで

ディスク:4
 1. もう少し あと少し…
 2. Get U’re Dream
 3. IN MY ARMS TONIGHT
 4. 運命のルーレット廻して
 5. 少女の頃に戻ったみたいに
 6. きっと忘れない
 7. こんなに愛しても
 8. promised you
 9. GOOD DAY
 10. My Baby Grand ~ぬくもりが欲しくて~
 11. グロリアス マインド
 12. あなたを感じていたい
 13. 負けないで

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