書籍、CD、DVD、映画など

2020年11月18日 (水)

詩歌川百景 1

201107_001
香田の家と浅野の家に加えての、さらなる複雑な大人の事情。
舞台は海から山へ、といういことは開から閉へ、ということになるのかしら。
そして、これから何巻何年続くのだろうか。

201107_002
家系図で整理しておく。

吉田秋生
小学館
https://comics.shogakukan.co.jp/book?isbn=9784091670946

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2020年11月17日 (火)

East German Modern

200711_egm_1
記述は英語である。
ドイツ民主共和国時代に建設された建物の写真集で、29の都市の120以上の施設・建物が掲載されている。
スターリン様式などのソ連的な建築物はない。
「東ドイツの現代建築」というタイトルに、「東ドイツモダニズム」というような意味合いを持たせたのかもしれない。

200711_egm_2
しかし、東独時代の建物の名称と所在する都市の名称はあるが、詳しい所在地はないので、建物の名称を使って地図でなどで検索してみた。
すでに取り壊されてしまった建物も含んでいるので、検索できない建物もある。

200711_egm_3
本文は写真と建物名と都市名のみの記載で、巻末に、建築年、設計者(と思う)氏名、簡単な解説が記されている。

掲載ページ、都市名、名称、所在地を一覧にしておく。

前文
4/ベルリン/国際映画館/Karl-Marx-Allee 33
4/ベルリン/教師の家/Alexanderstraße 9
6/ベルリン/住宅宮殿/Karl-Marx-Allee 83
6/ベルリン/カール・マルクス書店があった建物/Karl-Marx-Allee 78
6/ノイシュトレーリッツ/劇場/
7/ベルリン/レストラン・モスクワのロビー/Karl-Marx-Allee 34
7/ポツダム/プール/
8/ベルリン/国際映画館/Karl-Marx-Allee 33
9/ベルリン/会議ホールのロビーにある階段/Alexanderstraße 11
9/ライプツィヒ/オペラハウス/Augustusplatz 12
10/ベルリン/レストラン「アホルンブラット」/
10/ゲーラ/文化の家のロビーにあるレリーフ「リート・デ・レーベン」/
11/ベルリン/教師の家/Alexanderstraße 9
11/ベルリン/会議ホール/Alexanderstraße 11
12/ドレスデン/中央百貨店/
12/ドレスデン/レストラン・バスタイ/
13/ハレ/革命的ドイツ労働者の運動の碑/Riebeckplatz
14/ドレスデン/ルンド映画館/Prager Str. 6
14/ベルリン/ハウス・デス・ライゼン/Alexanderstraße 7
14/ベルリン/ベルリンテレビ塔/Panoramastraße 1A
本文
17/バート・フランケンハウゼン/パノラマ博物館/Am Schlachtberg 9
18/ライプツィヒ/新ゲヴァントハウス/Augustusplatz 8
20/ライプツィヒ/オペラハウス/Augustusplatz 12
21/ライプツィヒ/Wintergartenhochhaus/Wintergartenstraße 2
22/ライプツィヒ/Europahaus/Augustusplatz 7
23/ライプツィヒ/Bowlingtreff/Wilhelm-Leuschner-Platz
25/ライプツィヒ/ドイツ体育大学(DHfK)/Jahnallee 59
27/ライプツィヒ/エルンスト・グルーベ・ホール/Jahnallee 59
29/ライプツィヒ/水泳施設/Mainzer Str. 4
30/ライプツィヒ/大学高層ビル/Augustusplatz 9
31/ザンガーハウゼン/円形駅売店/
33/ザンガーハウゼン/駅ビル/
34/コトブス/ブランデンブルク工科大学の教育棟/Universitätsstraße 18あたり
35/コトブス/第32工科高校/Theodor-Storm-Straße 22
36/コトブス/宇宙飛行プラネタリウム・ユーリ・ガガーリン/Lindenpl. 21
37/コトブス/市役所/Berliner Pl. 6
38/イエナ/大学高層ビル/Leutragraben 1
41/オーバーホーフ/インターホテル・パノラマ/Dr, Theo-Neubauer-Straße 29
42/アイゼンヒュッテルシュタット/オートパビリオン/Lindenallee 17
43/アイゼンヒュッテルシュタット/スポワ小売店/Lindenallee 26あたり
44/アイゼンヒュッテルシュタット/Magnet Department Store/Lindenallee
45/アイゼンヒュッテルシュタット/美容院/
47/アイゼンヒュッテルシュタット/マギスタル薬局/Lindenallee 13
48/アイゼンヒュッテルシュタット/ショッピングセンター・フィックス/Lindenallee 20あたり
49/アイゼンヒュッテルシュタット/家具屋/Lindenallee 24
50/アイゼンヒュッテルシュタット/ゲストハウス/Karl-Marx-Straße 37
52/アイゼンヒュッテルシュタット/集合住宅II/Pawlowallee
53/アイゼンヒュッテルシュタット/保育園/Erich-Weinert-Allee 3
54/アイゼンヒュッテルシュタット/集合住宅II/Pawlowallee
55/アイゼンヒュッテルシュタット/集合住宅II、ブロック51/53/Pawlowallee
57/ピルナ/人民企業飛行機タービン工場の食堂/Dr.-Benno-Scholze-Straße
58/ロストック/カトリック教会/äktweg 4–6
60/ロストック/カモメハウスとヴァーノフ薬局/Lange Str. 6
61/ロストック/旧市街北の家々/Grapengießerstraße
63/ロストック/カフェバー・コスモス/Nobelstraße 50
64/ロストック/クンストハレ/Hamburger Str. 40
65/ロストック/ネプチューン水泳プール施設/Kopernikusstraße 17
67/ロストック/マーブルホール、ネプチューン水泳プール施設/Kopernikusstraße 17
68/ロストック/ひまわり住宅/Mecklenburger Allee 19
69/ロストック/段々とした高層住宅/Bertolt-Brecht-Straße
71/フランクフルト(オーダー)/プラッテンバウ、P2型/
72/フランクフルト(オーダー)/オーダー塔/Logenstraße 8, Oderturm, 10
73/フランクフルト(オーダー)/若者の映画館/Heilbronner Str. 18
74/ザスニッツ/音楽パビリオン/Strandpromenade 6
76/ケムニッツ/ナツィオネン通りの建物/Str. der Nationen 48
77/ケムニッツ/ナツィオネン通りの建物/Str. der Nationen 48
78/ケムニッツ/ナツィオネン通りの建物/Str. der Nationen 46
79/ケムニッツ/ナツィオネン通りの建物/Brückenstraße 8
80/ケムニッツ/州機関の建物と党の建物/Brückenstraße 12
83/ケムニッツ/カール・マルクス像/Brückenstraße 10
84/ケムニッツ/市庁舎と議会ホテル/Theaterstraße 3
85/ケムニッツ/バスターミナル/Str. der Nationen 33
87/ヴァーネミュンデ/海岸レストランティーポット/Am Leuchtturm
88/ポツダム/中央駅/Zum Bahnhof Pirschheide 1
89/ポツダム/カフェ・ゼーローゼ/Breite Str. 24
90/ポツダム/データ処理センター/Dortustraße 46
91/ポツダム/スタウデンホフの住宅アパート/Am Kanal 49
93/エアフルト/円形パビリオン/Gothaer Str. 38
94/エアフルト/フリッツ・グレマーの彫刻「建設助手」/
95/エアフルト/グロッセ・ヴィーゼのパビリオン/Gothaer Strasse 38
96/エアフルト/SED地区党校/Werner-Seelenbinder-Strasse 14
98/エアフルト/ビリニュス・パサージュ/Mainzer Str. 36-37
99/エアフルト/管理棟/Jürgen-Fuchs-Straße 1
100/マグデブルク/中央デパート/Breiter Weg 128
102/マグデブルク/ローテホルン市立公園多目的ホール/Heinrich-Heine-Weg
105/ホイエルスヴェルダ/中央デパート/Lausitzer Pl. 1-3
106/ビンツ/沿岸監視塔/Strandpromenade
107/ビンツ/バス停の屋根/
108/ベルリン/カール・マルクス・アレー、ブロックC北/Karl-Marx-Allee 71〜91
110/ベルリン/高層建築、シュトラウスベルガー・プラッツ/Strausberger Pl.
111/ベルリン/Café Sibylle/Karl-Marx-Allee 72
112/ベルリン/フランクフルト門/Frankfurter Tor 1、Frankfurter Tor 9
113/ベルリン/バルコニーアクセス住宅/Karl-Marx-Allee 130, あたり
114/ベルリン/ブロックC南のポータル/Karl-Marx-Allee 72〜90
115/ベルリン/子供の家/Strausberger Pl. 19
116/ベルリン/テレビ塔/Panoramastraße 1A
118/ベルリン/統計の家/Karl-Marx-Allee 1
119/ベルリン/旅行の家/Alexanderstraße 7
120/ベルリン/会議ホール/Alexanderstraße 11
121/ベルリン/教師の家/Alexanderstraße 9
122/ベルリン/家の中の芸術ギャラリー・パビリオン/Karl-Marx-Allee 45
123/ベルリン/インターフロア花店/Karl-Marx-Allee 35
125/ベルリン/国際映画館/Karl-Marx-Allee 33
126/ベルリン/ベルト・ヘラーの壁画「ソビエト連邦の人々の生活から」、レストラン・モスクワ/Karl-Marx-Allee 34
127/ベルリン/レストラン・モスクワ/Karl-Marx-Allee 34
128/ベルリン/映画館コスモス/Karl-Marx-Allee 131A
129/ベルリン/バベッテ美容院/Karl-Marx-Allee 36
130/ベルリン/放送局/Nalepastraße 18
131/ベルリン/チェコ大使館/Wilhelmstraße 44
133/ベルリン/ディナモ・スポーツセンター/Weißenseer Weg 53
134/ベルリン/トレーニング・ホール、スポーツフォーラム/Weißenseer Weg 53
135/ベルリン/スポーツとレクリエーションセンター/Landsberger Allee 77
136/ベルリン/ミュッゲルタワー/Str. zum Müggelturm 1
137/ベルリン/プレンツラウアーベルクのツァイスの大きなプラネタリウム/Prenzlauer Allee 80
138/ベルリン/国連広場/Platz der Vereinten Nationen 1
139/ベルリン/フリードリヒ通り駅の出入国管理会館/涙の宮殿/Reichstagufer 17
140/ベルリン/ノイエス・ドイッチェラント出版社/Franz-Mehring-Platz 1
141/ベルリン/フリードリヒシュタットパラスト/Friedrichstraße 107
142/ベルリン/ハインリッヒ-ハイネ地区/Heinrich-Heine-Straße 2
144/ベルリン/移動可能拡張ホール/Kopenhagener Str. 17
145/ベルリン/フォルクスビューネ/Linienstraße 227
146/ベルリン/ライップツィヒ通り住宅街/Leipziger Str. 43
147/ベルリン/シュピッテレック/Seydelstraße 37
149/オーシャッツ/ロネヴィッツ・サービスセンター/Lonnewitz
150/ハレ/ドーム広場の住宅/
151/ハレ/壁画「原子エネルギーの平和利用」/Magdeburger Str. 36
152/シュヴェリーン/パノラマレストラン/Johannes-Brahms-Straße 65
153/シュヴェリーン/スポーツと会議ホール/Wittenburger Str. 118
155/ヘリングスドルフ/アートパビリオン/Auf der am Rosengarten, Promenade
156/ワイマール/キオスク/Coudraystraße 3
157/ワイマール/公園のカフェテリア/Marienstraße 15b
158/ノイブランデンブルク/文化教育の家/Marktpl. 1
159/ノイブランデンブルク/文化教育の家/Marktpl. 1
160/ゲーラ/文化と会議センター/Schloßstraße 1
163/バーベ/島の楽園/Am Inselparadies 1
164/ドレスデン/人民企業ターボエンジン/Königsbrücker Str. 96
166/ドレスデン/人民企業ターボエンジン/Königsbrücker Str. 96
167/ドレスデン/人民企業ターボエンジン/Königsbrücker Str. 96
168/ドレスデン/ロボトロン研究センター/Grunaer Str. 2
169/ドレスデン/ロボトロン研究センター/Grunaer Str. 2
170/ドレスデン/ロボトロン研究センター/Lingnerallee 3
172/ドレスデン/ロボトロン研究センター/Zinzendorfstraße 5
173/ドレスデン/ロボトロン研究センター/Lingnerallee 3
175/ドレスデン/ノイシュタットの郵便局/Königsbrücker Str. 21
176/ドレスデン/ノイシュタットの郵便局/Königsbrücker Str. 21
178/ドレスデン/住宅用高層ビル/Grunaer Str. 5
179/ドレスデン/事務所および商業ビル/Wilsdruffer Str. 3
181/ドレスデン/円形映画館/Prager Str. 6
182/ドレスデン/交通工学大学/Strehlener Pl. 2
183/ドレスデン/技術大学学生寮/
184/ドレスデン/文化宮殿/Schloßstraße 2
185/ドレスデン/ブラセウィッツ漕艇センター/Ferdinand-Avenarius-Straße 4
186/ドレスデン/労働安全中央研究所/Gerhart-Hauptmann-Straße 1

Hans Engels/著
Prestel
https://prestelpublishing.randomhouse.de/book/East-German-Modern/Hans-Engels/Prestel-com/e552265.rhd

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2020年11月16日 (月)

障害とは何か 戦力ならざる者の戦争と福祉

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現在の身体障害者手帳の障害種別と等級を表にした「身体障害者障害程度等級表」(身体障害者福祉法施行規則別表第五号)の変遷をさぐると、身体障害者福祉法は傷痍軍人に対する援助がルーツであるという見方は誤りではないとしても、兵役法と朝鮮人、戦争と戦時下の労災補償などを考察すると、さらに奥が深いことがよくわかる。
国策としての戦争に役に立たなければ非国民という考えかただけではなく、そもそも「戦争にとって人的資源確保たりえる存在にはできるだけその保全・培養のため社会政策を活用するが、はじめから人的資源としてふさわしくないとした人間には、出生そのものの抑制を目指し、国家が直接その出征にかいにゅうする仕組みを導入していったプロセス」(P.65)があって、そのプロセスの結果として国民体力法と国民優生法があることを、あらためて確認できる。
本書を簡単にまとめることは難しいが、徴兵制と障害の排除、恩給と障害保障、「産業戦士」と障害保障など、政策目的によってさまざまな対応が行われてきて、戦後の身体障害者福祉法に至り、そのなかにそれまでの「障害者」像が盛り込まれているということになろうか。
そして、戦力にあらざれば人として認められないという考え方があったことを知ると、「生産性」を価値基軸とする考え方を、国会議員の地位にある者が公然と主張し続けていることに、暗然たる思いがする。

もともとが博士論文であったことから、記述はいわゆる論文形式であり、決して読みやすいとはいえない。

身体障害者障害程度等級表
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/10/dl/s1027-11d.pdf

京都新聞で紹介。
https://www.hanazono.ac.jp/news/education/psychology/000596.html

はしがき
初出一覧
第1章 軍事政策における障害
 はじめに
 1 徴兵制と障害
 2 徴兵制の確立と障害
 3 兵役法下における障害
 4 除役と障害
 5 軍人恩給と障害
 おわりに
第2章 戦時政策における障害
 はじめに
 1 国民体力の低下
 2 農村の疲弊
 3 結核と障害
 4 人口政策と保健国策
 5 虚弱児問題と国民体力法
 6 国民体力法と国民優生法
 おわりに
第3章 社会政策における障害
 はじめに
 1 医療保険と障害
 2 年金保険制度成立への助走
 3 労働者年金保険法の制定
 4 年金保険制度における障害
 5 障害年金がつくられたねらいとは
 おわりに
第4章 障害者福祉における障害
 はじめに
 1 戦後の社会福祉改革
 2 傷痍者保護対策
 3 身体障害者福祉法の成立
 4 身体障害者福祉法は元傷痍軍人対策か
 5 身体障害者福祉法における障害とは
 おわりに
第5章 障害概念はどこから来たか
 はじめに
 1 身体障害者福祉法の障害概念
 2 等級表の登場
 3 等級表はどこから来たか
 4 等級表の比較検証
 5 等級表の特徴とは
 6 等級表のその後
 おわりに
第6章 戦争と障害
 はじめに
 1 排除対象としての障害
 2 保障対象としての障害
 3 社会政策的障害観
 4 障害原因による差別化
 5 生存権にとっての障害
 6 戦争と障害者観
 おわりに
あとがき
巻末資料1 陸軍身体検査における体格等位基準
巻末資料2  身体障害者福祉法等級表案と厚生年金保険法労働者災害補償保険法恩給法の等級表との比較
巻末資料3 関係法による対象規定の比較分析

藤井渉/著
法律文化社
https://www.hou-bun.com/cgi-bin/search/detail.cgi?c=ISBN978-4-589-03845-6

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2020年11月15日 (日)

ちひろさんと過ごした時間 いわさきちひろをよく知る25人の証言

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いわさきちひろの絵は、本や雑誌のページをめくると、いや、ページをめくるまえの表紙にもあって、常にそばにあったという記憶。

2年前に、東京ステーションギャラリーで開催されていた「生誕100年 いわさきちひろ、絵描きです。」に行った。
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2018/08/11-100-f387.html

ちひろ美術館には、東京も安曇野にも行っているが、東京に行ったのはまだ「絵本美術館」だった頃だ。
安曇野に行ったのも2003年と、かなり月日は経ってしまった。
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2003/05/post-9b11.html

黒柳徹子/著
高畑勲/著
ちひろ美術館/監修
新日本出版社
http://www.shinnihon-net.co.jp/general/detail/code/978-4-406-05801-8

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2020年11月12日 (木)

詩人の積木箱 1 アメリカについて

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折しも、大統領選挙の結果が出てきたときに、読む。
大統領選で混迷しているアメリカを見ていると、本書のアメリカは半世紀近く前のアメリカというより、はるか昔のアメリカのように思える。
にもかかわらず、やはり繋がっている。
また、都市のアメリカばかりを見ていると、見誤るのかもしれない.

本書は、1961年から1973までに著者が執筆した文章を4つの「積木箱」としてまとめたものの第一巻で、1974年に刊行された。
ということは、長田さんは20歳をわずかに過ぎた頃から30代前半にかけての頃で、それだけに文章は固く、読むものにするどく突き刺さる。

「3 アメリカの矩形の夢」でとりあげられている映画は、「明日に向かって撃て」「俺たちに明日はない」「真夜中のカウボーイ」はむろんのこと、あの頃観た「卒業」や「いちご白書」もそうだろうが、アメリカのありようを映像で表現していたと思うのだが、さいきんはアメリカ映画はとんと見ないのだが、現在のアメリカ映画はどうなのだろうか。
最後のアメリカ映画は昨年暮れの「THE UPSIDE 最強のふたり」だと思うが、これは仏映画「最強のふたり」のハリウッド版リメイクであるが、仏版のほうが、「格差」「差別」がふんだんに散りばめられていて、ちょっと間違うとトンデモな作品になるだろうが、そうしたシーンを不穏に感じさせない丁寧な作りであるように思えた。

また、ミュージシャンやライターの名前がたくさん出てくる。
こうした名前をあたりまえに見聞きしていた60年代70年代、この人たちの反対側にいた人たちもまた、あまたいたはずだ。
双方の人たちのような存在を、21世紀のいま、なかなか思う浮かべることはできそうにない。
とういことは、あの頃、あの人たちの姿を見、声を聴き、文章を目にしたときに抱いたような想いを、いま持つこともなくなってしまっている、ということだ。

装幀が、とくに内扉のデザインがすばらしい。
担当したのは石岡瑛子氏。
今月から東京都現代美術館で展覧会「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」が開催される。
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/eiko-ishioka/

1 北アメリカの小さな町から
2 アメリカの影
3 アメリカの矩形の夢
4 ブルース・オン・ブルース
5 他者にかかわることの困難さ
積木箱おぼえがき・1

長田弘/著
大和書房

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2020年11月 7日 (土)

物語 東ドイツの歴史 分断国家の挑戦と挫折

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2018年のドイツ行きでは、東であったエリアに行ってきた。
東ドイツ時代はどんな街だったのだろうか、村だったのだろうかと思いながら景色を眺めていたものだ。
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/deutsch-2018.html
そして、先日、「ドイツ統一」を読んだばかりである。
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2020/10/post-44f087.html
「ドイツ統一」の著者の見方は、「西」のCDUの立ち位置からの東西両ドイツと「統一」後のドイツの通史ということができるだろう。
けれど、本書の東ドイツへの見方のほうが「ドイツ統一」よりもかなり辛辣であるとの印象が残った。
これは、ドイツ人が見た東ドイツと、ドイツとは一定の関係を持ってはいるが、日本人が見た東ドイツの違いなのだろうか。
とはいえ、著者の立ち位置は、いまひとつはっきりとしない。

P.72に「質の管理がなされていない商品が大量に出回るという計画経済の欠点」、P.73に「社会主義体制下では、消費財が必要なところに供給されずに不足しつつも、物資は退蔵されるという「不足の経済」が生じる」という記述がある。
「質の管理がなされていない商品が大量に出回る」ことや「不足しつつも、物資は退蔵される」ことが「計画経済」や「社会主義体制」の必然的結果のような記述だが、結果としてそうした現象はあったとしても、必然的結果と断定するのはどうなのだろうかと思う。
また、P.102にベルリンの壁が建設された頃の写真が二葉掲げられていて、上の写真は「自由への跳躍」(Sprung in die Freiheit)として有名な写真なのだが、これは「壁」建設が始まった2日後、まだ「壁」になる前の鉄条網で遮断されたときのできごとで、本文との関係からいえば、唐突すぎやしないかと思う。
こうしたことも、本書の著者の立ち位置が判然としないことを示しているのかもしれないし、「物語」であるのかもしれない。

私じしんは、いまだに東ドイツ、DDRを追っているのだが、東ドイツといえば、大学の授業で、「東ドイツの労働者は分業の一部を担っているが、分業での単なる歯車的な存在ではなく、自分が担当する作業について、作業の全体を把握していてその中の任務を理解していて、資本主義体制下の労働者のような歯車としての存在でしかないような労働者ではない」、ということを聞いていたことが始まりと言える。
当時は、日本でも東ドイツは東の優等生として語られていており、そうした見方は自分でも見聞きしていた。
これは、本書P.180の「一九七〇年代、東ドイツは外から見れば安定しており、世界で一〇指に入る先進工業国であるという評価」と重なる。
しかし、著者は、存在していた東ドイツを同時代的に実体験することは、年齢的に不可能だ。
また、1989年は、それまで自分のなかに積み重なっていたドイツだとか、社会主義、資本主義、民主主義だとかといったもろもろとの関係で見なおさなければならなかったし、そのプロセスである種の喪失感がともなったのだが、「一九八九年の変動を思春期に経験した」(P.271)著者は、どのような思いで1989年を見ていたのだろうか。
それはある意味、何にもとらわれないで東ドイツを記述できるということでもある。
であるとしても、実際に行ったわけではなく伝聞でしかないが、現在進行形で東ドイツを見聞きしていた体験がある者からすれば、残念ながら、本書の内容は自分の中に落ちてこないで読み終えてしまったのである。
同じ著者の「歴史としての社会主義 東ドイツの経験」も読んでいるが、本書ほどには落ちてこないということではなかったのは、「歴史としての社会主義 東ドイツの経験」が単著ではないからかしら。
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2019/04/post-c5545b.html

「コラム(3) 映画のなかの東ドイツ」に出てくる映画は、「グッバイ・レーニン」「善き人のためのソナタ」「東ベルリンから来た女」「僕たちは希望という名の列車に乗った」「Sonnnenalle」の5本。
最後の「Sonnnenalle」以外は、映画も見たし、DVDも持っている。
「僕たちは希望という名の列車に乗った」は、原著がある。
「グッバイ・レーニン」「僕たちは希望という名の列車に乗った」は、いずれも独語のシナリオ本がある。
「グッバイ・レーニン」「善き人のためのソナタ」はノベライズ本があり、「グッバイ・レーニン」は和訳本、「善き人のためのソナタ」は独語。
「グッバイ・レーニン」
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/good-bye-lenin.html
「僕たちは希望という名の列車に乗った」
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2019/10/post-b5ab06.html
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2020/07/post-ac0753.html
「バルーン 奇蹟の脱出飛行」は、間に合わなかったか。

巻末の年表と文献は、整理しておこう。

はじめに
序章 東ドイツを知る意味
第1章 新しいドイツの模索―胎動 1945‐1949
第2章 冷戦と過去の重荷を背負って―建国 1949‐1961
コラム(1) オリンピックと東ドイツ
コラム(2) シュタージ
第3章 ウルブリヒトと「奇跡の経済」―安定 1961‐1972
コラム(3) 映画のなかの東ドイツ
コラム(4) 東ドイツ時代のメルケル
第4章 ホーネッカーの「後見社会国家」―繁栄から危機へ 1971‐1980
コラム(5) トラバントと「オスト・プロダクト」の今
コラム(6) 請願と日常生活の政治
第5章 労働者と農民の国の終焉―崩壊 1981‐1990
終章 統一後の矛盾と対峙
あとがき
参考文献
略語一覧
関連年表

河合信晴/著
中央公論新社
https://www.chuko.co.jp/shinsho/2020/10/102615.html

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2020年11月 6日 (金)

100分de名著 デフォー ペストの記憶

200927_001
2020年9月の放送。
https://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/101_defoe/index.html

デフォーの「ペストの記憶」は、先日、読んだ。
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2020/07/post-68569b.html

H・Fは、ロンドンにとどまるか逃げるかと逡巡するが、この逡巡は、
 子を連れて西へ西へと逃げてゆく愚かな母と言うならば言え(俵万智)
 逃げないんですかどうして? 唇を噛む(ふりをする)炎昼のあり(高木佳子)
を、思う。

第二波、第三波と続くのだろうか。

【はじめに】パンデミックと記録文学
第1回 パンデミックにどう向き合うか?
第2回 生命か、生計か? 究極の選択
第3回 管理社会VS市民の自由
第4回 記録すること、記憶すること

NHK出版
https://www.nhk-book.co.jp/detail/000062231172020.html

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2020年11月 1日 (日)

証言 沖縄スパイ戦史

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映画は見ていないのだが、書籍として刊行されたので、読む。
http://www.spy-senshi.com/
新書版ながら700ページを超えるボリュームであるが、一挙に読ませる内容である。
つい先ごろ、「戦争は女の顔をしていない」を読んだばかりであるが、本書の「第一章 少年ゲリラ兵たちの証言」は、「戦争は女の顔をしていない」の数々の証言と重なる。
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2020/10/post-3994e5.html
戦後の、人に言うことができない状況も、重なっている。

関東でも、軍は、連合軍の本土上陸に対する準備を行っていた。
義勇兵役法との関係(P.192)、さまざまな教令との関係(P.688以降、P.740以降)は、本土ではどう活かされようとしていたのだろうか。
「国土決戦教令」(1945年4月)の「第十四 敵は住民、婦女、老幼を先頭に立てて前進し我が繊維の消摩を計ることあるべし斯かる場合我が同法は己が生命の長きを希はんよりは皇国の戦捷を祈念しあるべきを信じて騎兵撃滅に躊躇すべからず」「第十一 決戦間傷病者は後送せざるを本旨とす」、そして「国民義勇戦闘隊教令」(P.707以降)には、戦慄を覚える。
そこでは、軍による住民支配ではなく、住民による住民に対する監視と「処置」が規定されている。
以前読んだ「相模湾上陸作戦 第二次大戦終結への道」を、もう一度読んでみよう。
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2018/08/post-3798.html
そして、自衛隊は、どのような「教令」を持って、離島に配備されているのだろうか。

ゲリラ戦といえば、ベトナム。
ベトナムに行ったときに、ホーチミン市郊外のクチや、17度線に接したヴィンモック村に行き、説明を聞いたり展示物を見たりすることができたのだが、同じように「言えない」経験もあるのだろうか。
また、「ゲリラ戦になったら戦争は終わらないな(中略)アメリカが日本本土に上陸して完全に占領することをしなかったのは、やっぱり沖縄のゲリラ戦部隊の恩恵もあると思う」との証言もある(P.429)が、アメリカがベトナムで失敗したのは、沖縄が教訓となっていなかったということになる。
沖縄の「ゲリラ」に対して、アメリカはどんな評価をしていたのだろうか。
それは、ソ連とアフガニスタンとの関係も同様だろう。

本書の証言の数々は、さらに学術的な研究につなげていかなければならないと思うのだが、どうなるだろうか。

はじめに
第一章 少年ゲリラ兵たちの証言
第二章 陸軍中野学校卒の護郷隊隊長たち
第三章 国土防衛隊 陸軍中野学校宇治分校
第四章 スパイ虐殺の証言
第五章 虐殺者たちの肖像
第六章 戦争マニュアルから浮かび上がる秘密戦の狂気
補稿 住民はいつから「玉砕」対象になったのか
おわりにかえて—始末の悪い国民から始末のつく国民へ
教令一覧
本書関連地図
山王文献

三上智恵/著
集英社
https://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/1011-d/

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2020年10月27日 (火)

ギリシア神話

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ギリシア神話を読んだのは、たぶん、小学生の頃だろうから、それ以来になるはずだ。
本書も、石井桃子さん訳の大人向けではないバージョンなのだが、日本の八百万の神々もそうだが、ギリシアの神々とは称されるものの、嫉妬したり、自分勝手だったり、こんなに人間っぽい神々だったっけと、あらためて思う。
そして、相関図が欲しくなってくる。
一神教の「神」の概念とは、全く異なる「神」だ。

元となる「ギリシア神話」には、いくつものバージョンがあるのだろう。

Athena
ウィーン、国会議事堂のアテナ像

はじめに
プロメテウスの火
パンドラ
デューカリオンの大こうずい
アポロンとダフネ
アポロンとヘルメ
ヘルメスとアルゴス
デメテールとペルセポネ
パエトンと日の神の車
ペルセウス
カドモス
イアソンと金色のヒツジの毛皮
ベレロフォンとペガソス
エコー
ナルキッソス
アラクネ
ヘラとハルキュオネ
ミダス王
ヘラクレスの十二のぼうけん
テーセウス
ダイダロスとイカロス
オルペウスとエウリュディケ
エロスとプシュケ
トロイア戦争
オデュセウスのぼうけん
あとがき
さくいん

石井桃子/編
富山妙子/画

のら書店
https://norashoten.co.jp/book_detail/%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B7%E3%82%A2%E7%A5%9E%E8%A9%B1/

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2020年10月26日 (月)

貧困の哲学(上)(下)/哲学の貧困

「貧困の哲学(経済的諸矛盾の体系、あるいは貧困の哲学)」は、マルクスをして「哲学の貧困」を執筆せしめたプルードンの著作である。
37歳のプルードンの「穏健」「寛容」に対して28歳の若者マルクスが噛み付いたという構図の「哲学の貧困」は、日本でも早くから出版されていたのに対して、その大元が出ていなかったのは、「哲学の貧困」を研究するうえでもこれまで問題とされなかったのだろうか。
まあ、研究者は原著を読めばいいのかもしれないけれど。

批判(というか、罵倒に思えるが)をとおしてマルクスは、労働価値説に立つ経済学を築いていくことになり、その意味でマルクスの経済学説に貢献したとも言える。
ただし、プルードンの「貧困の哲学」のうちの、価値論と分業論への批判が中心である。
それにしてもマルクス、この厚さの「貧困の哲学」をほんとうに2日で読んだのか。

「貧困の哲学」も「哲学の貧困」も、発表は1847年、48年革命の前であること、日本は徳川家慶が征夷大将軍であり、前年に孝明天皇が即位している。

「貧困の哲学」訳者による「マルクスの『哲学の貧困』を読む」がある。
http://www.kagomma.net/saito/travaux/misere.html

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貧困の哲学(上)
プロローグ
第1章 経済科学について
第2章 価値について
第3章 経済発展の第一段階―分業
第4章 第二段階―機械
第5章 第三段階―競争
第6章 第四段階―独占
第7章 第五段階―警察あるいは税金
第8章 矛盾の法則のもとでの人間の責任と神の責任―神の摂理の問題の解決

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貧困の哲学(下)
第9章 第六段階―貿易のバランス
第10章 第七段階―信用
第11章 第八段階―所有
第12章 第九段階―共有
第13章 第一〇段階―人口
第14章 要約と結論

貧困の哲学(上)(下)
ピエール=ジョゼフ・プルードン/著
斉藤悦則/訳
平凡社
http://www.heibonsha.co.jp/book/b183466.html
http://www.heibonsha.co.jp/book/b184868.html

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哲学の貧困
マルクスからアンネンコフへの手紙(1846年12月28日)
哲学の貧困
 ドイツ語第一版助言(エンゲルス)
 ドイツ語第二版助言(エンゲルス)
はしがき
第一章 科学上の一発見
 第一節 使用価値と交換価値との対立
 第二節 構成された価値または綜合価値
 第三節 価値比例制の法則の適用
  a 貨幣
  b 労働の剰余
第二章 経済学の形而上学
 第一節 方法
 第二節 分業と機械
 第三節 競争と独占
 第四節 所有〔土地所有〕または地代
 第五節 同盟罷業と労働者の団結
解説
人名訳注
事項索引

哲学の貧困
カール・マルクス/著
高木佑一郎/訳
大月書店

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