ミルン/Milne関連

2019年4月24日 (水)

赤い館の秘密【新訳版】

190416_001  190416_002
早川から妹尾韶夫訳(1955)、創元から大西尹明訳(1959)、角川から古賀照一訳(1962)、旺文社から内藤理恵子訳(1975)、集英社から柴田都志子訳(1998)などが出ていて、旧訳のいくつかは当然読んでいる(最近では集英社版)が、新訳が出たとあっては、読まなければならない。
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/post-34ce.html
刊行は1921年とプーさんの1926年よりも前なので、帯の惹句はいかがと思うのだが。

それにしてもディテクティブストーリーには、探偵の動作、事件の環境、多数の関係者など、広い庭のある大邸宅の館がいかにもふさわしい。
そしてそうした大邸宅を描くことができる時代は、現代ではないのだろう。


ベヴァリーがギリンガムのことを「あなた」と呼ぶのは、どうも違和感。
友人同士で呼び合うとき、日本語では使うかしら。
集英社版では、「きみ」である。

A・A・ミルン/著
山田順子/訳
創元推理文庫
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488116026

 

| | コメント (0)

2019年3月29日 (金)

クマのプーさん 原作と原画の世界 A.A.ミルンのお話とE.H.シェパードの絵

190220_101  190220_102
先日「グッバイ・クリストファー・ロビン 『クマのプーさん』の知られざる真実」を読み終わったばかりであるが、平行して読んでいた2月に行ったプーさん展の図録である。
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2019/02/post-dca7.html
本書からは、「グッバイ・クリストファー・ロビン」がどの程度意識さえているのかは、見えない。
また、Bunkamuraで「プーと大人になった僕」が上映されるようだが、せっかくのミルンとシェパードを台無しにしているとしか思えない。
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館は、承知なのだろうけれど。
プーさん展は、東京会場での開催はあと2週間ほど、GWから6月末までは大阪で開催される。
https://wp2019.jp/

Director's Foreword/序文
Introduction/はじめに
Chapter 1: We are Introduced/第1章 さて、お話ははじまります
Chapter 2: Pooh Goes to Print/第2章 プー、本になる
Chapter 3: The Art of Narrative: A.A. Milne/第3章 物語る術:A.A.ミルン
Chapter 4: The Art of Narrative: E.H. Shepard/第4章 物語る術:E.H. シェパード
Chapter 5: The Art of Narrative: Text and Image/第5章 物語る術:文章と絵の融合
Chapter 6: A Very Popular Bear/第6章 世界中で愛されているクマ
Endnotes/後注
Further Reading/関連図書
Picture Credits/写真クレジット
Acknowledgements/謝辞
Index/索引

アンマリー・ビルクロウ、エマ・ロウズ/著
東京子ども図書館 阿部公子/日本語版監修
富原まさ江/訳
玄光社
http://www.genkosha.co.jp/gmook/?p=18013

 

| | コメント (0)

2019年3月28日 (木)

グッバイ・クリストファー・ロビン 『クマのプーさん』の知られざる真実

181004_021  181004_022

本書は、著者の1990年刊行の「A. A. Milne: His Life」(1990年、未邦訳)をベースに「四冊の子どもの本が書かれた背景と、その驚異的な成功がミルンと息子のクリストファーとに与えた影響に関する中心部ぶんを取り出したもの」だそうで、映画にもなった。
映画を見たわけではないし、先ごろ見に行ったプーさん展に合わせたわけではないのだが、積ん読状態が長かったので、ようやく読んでみることにした。
タイトル明けを見ると、クリストファー・ロビンに関して書かれているのかと思ったのだが、そうではなく、アラン・アレクサンダー・ミルンの評伝である。
クリストファー・ロビン自身に関しては、「クマのプーさんと魔法の森」と「クリストファー・ロビンの本屋」は読んでいるので、クリスロファー・ロビン側からの父への思いとすれ違いは承知している。
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/post-28ee.html
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-d1ad.html


本書では、クリスロファー・ロビンと父との「亀裂」と「和解」については、それほど深く掘り下げているわけではない。
P.318に「父子に最後の亀裂が生じたのは、戦後のことだった」と書かれているが、P.319で「彼は、生身のクリスロファー・ロビンであることを忌み嫌う思いをまったく払拭できなかったものの、自分の店で四冊の有名な本を見たとき、ついに、父親を誇らしく思わざるをえないことを認めた」と描かれている。
あまりにもあっさりしすぎているのだが、元の「A. A. Milne: His Life」ではもっと書かれているのだろうか。
もっとも「訳者あとがき」で、著者の「A. A. Milne: His Life」を読んだことで、クリストファー・ロビンは「父から深く愛されたことを知る。父への長年のわだかまりが、これによって晴れたのであろう。電気を読んで、クリストファーは、伝記執筆を許可したあとも消えなかった疑問や不本意な気持ちがすっかりなくなり、「翔さんと幸福感以外は何も残っていない」と著者に書き送った」(P.330)とのことであるから、著者としては詳しく書くことを避けたのかもしれない。


クリストファー・ロビン(CR)の経過をたどっておこう。
19208月21日年 CR誕生
1924年 詩集「When We Were Very Young」(邦訳「クリストファー・ロビンのうた」)刊行
1926年 「Winnie-the-Pooh」(邦訳「クマのプーさん」)刊行
1927年 詩集「Now We Are Six」(邦訳「くまのプーさんとぼく」)刊行
1928年 「The House at Pooh Corner」(邦訳「プー横丁にたった家」)刊行
1939年 CR、ケンブリッジ大学に進学
1942年 CR、従軍
1947年 CR、戦後復学したケンブリッジ大学を卒業
1948年 CR、母方の従妹のレスリーと結婚
1951年 CRとレスリー、ダートーマスに書店開店
1956年1月31日、アラン・アレクサンダー・ミルン死去
1956年 CRとレスリーの娘クレア誕生
1971年 ダフネが死去
1974年 CR、「The Enchanted Places」(邦訳「クマのプーさんと魔法の森」1977年)刊行
1979年 CR、「The Path Through the trees」(邦訳「クリストファー・ロビンの本屋」1983年)刊行
1996年4月20日、CR死去
2012年 クレア死去


同じ第一世界大戦後に書かれた児童文学で、自身の子どもに書いたものといえば、ドリトル先生を忘れてはいけない。
ドリトル先生は、著者が自身の子どもたちのために書いたものが端緒であったが、物語のなかに子どもは登場させなかったのに対し、プーは同じように著者が自身の子どものために書いたけれど、物語のなかに子どもを登場させた。
また、ドリトル先生は、人間や動物たちが時にいがみ合う姿を見せる世界、必ずしも保護されてはいないでのエピソードであるのに対し、プーはいがみ合いのない保護された世界でのエピソードだ。
著者は、このあたりをどう評価するのだろうか。
また、1961年にディズニーが映像化権、商標使用権などを取得したが、これについては触れられていない。
個人的にはディズニーの映像は原作を破壊していると思っているが、著者はどう評価しているのだろうか。


一つの章に盛り込まれている内容が幾多もあったり、時代が行きつ戻りつすることなどがあるのだが、サブタイトルが附せらえれていたりやセクション分けがされていたりしてはいないので、読んでいて散漫に感じてしまう。
編集的に加えることはできなかったのだろうか。


日本語版に寄せて
序文 フランク・コットレル= ボイス
はじめに
この本を読む前に
1 劇作家
2 クリストファー・ロビンの誕生
3 ぼくたちがとても小さかったころ
4 プーの始まり
5 クマのプーさん
6 章の終わり
終わりに
著者アン・スウェイト(Ann Thwaite)について
主なA・A・ミルン(関連)の著作
訳者あとがき


アン・スウェイト/著
山内玲子/訳
田中美保子/訳
国書刊行会
http://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336062604/

 

| | コメント (0)

2016年11月14日 (月)

プーの細道にたった家

160828_041  160828_042
阿川佐和子さんが「ウィニー・ザ・プー」をトライしたとなれば、当然こうこなくっちゃ。
前にも書いたことだが、石井桃子さんの訳が頭のなかにあるなかで、読み手として新訳をどう受け止めるか。
本書を読んでみると、あらためて石井桃子さんの訳について、翻訳なのだろうか意訳なのだろうかと考えてしまう。
原語の持つリズムとか感覚を日本語に移し替えるときに、どこまで英語で感じるものを日本語で読む読者の内に再現できるか。
「POOH CORNER」を「プー横丁」とするか「プーの細道」とするか、その意味では、原語本とともに読むのがいいのかもしれない。

ためしに、目次を並べてみよう。
In which a house is built at Pooh Corner for Eeyore
 プー横丁にイーヨーの家がたつお話
 プーの細道にイーヨーの家がたつ。
In which Tigger comes to the forest and has breakfast
 トラーが森にやってきて、朝ごはんをたべるお話
 トララが森へやってきて朝ご飯をご一緒に。
In which a Search is Organized, and Piglet nearly meets the Heffalump again
 捜索隊がそきしされて、コブタがまたゾゾに会うお話
 捜索隊が結成され、コプタンはふたたびゾオオに遭遇しかける。
In which it is shown that Tiggers don't climb trees
 トラーは木にのぼらないということがわかるお話
 トララ族は木に登らないことが判明。
In which Rabbit has a busy day, and we learn what Christopher Robin does in the mornings
 ウサギがいそがしく働いて、クリストファー・ロビンがお昼まえになにをするのかが、みんなにわかるお話
 ウサギは一日じゅう忙しい。そしてクリストファー・ロビンが午前中何をしているかわかる。
In which Pooh invents a new game and Eeyore joins in
 プーがあたらしい遊戯を発明して、イーヨーが仲間にはいるお話
 プーは新しいゲームを発明し、イーヨーが参加する。
In which Tigger is unbounced
 トラーが、はねっかえりをなおされるお話
 トララが暴れん坊性分をなおす。
In which Piglet does a very grand thing
 コブタが、とてもりっぱなことをするお話
 コプタン、でかしたぞ!
In which Eeyore finds the Wolery and Owl moves into it
 イーヨーがクフロ荘を見つけて、フクロがそこへひっこすお話
 イーヨーがフロクン庵を見つけてフクロンが引っ越す。
In which Christopher Robin and Pooh come to an enchanted place, and we leave them there
 クリストファー・ロビンとプーが、魔法の丘に出かけ、ふたりは、いまもそこにおります
 クリストファー・ロビンとプーが魔法の丘へのぼり、私たちはそこでふたりとさようなら。
原文、石井訳、阿川訳である。

アラン・アレクサンダー・ミルン/著
阿川佐和子/訳
新潮社

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年8月 1日 (金)

石井桃子のことば

1400801_0011400801_002
石井桃子さんがさまざまなところに書いた「ことば」と、かかわりのあった人たちの思い出の文、そして数々の写真で構成されている。
でも、「ことば」をこうして切り取ってしまっていいのかとも思う。
「石井桃子全著作リスト」は、各著作の表紙画像がついているので、タイトルだけでは思い出せなくても表紙の画像で思い出せるものがたくさんあった。

NHKの朝ドラに関係しているのか、石井桃子さん関連の書籍が相次いで出版されている。
「考える人 2014年春号」
「石井桃子の翻訳はなぜ子どもをひきつけるのか」
そして6月末に、「ひみつの王国―評伝 石井桃子―」が刊行された。

世田谷文学館に「石井桃子展」を見に行ったのは、4年前だった。

第1章 石井桃子の仕事
 クマのプーさん
 ドリトル先生「アフリカ行き」
 ノンちゃん雲に乗る
 小さい牛追い
 ムギと王さま
 ハンス・プリンカー
 とぶ船
 ちいさいおうち
 やまのこどもたち
 山のトムさん
 やまのたけちゃん
 ちいさなうさこちゃん
 ピーターラビットの絵本
 子どもの図書館
 子どもと文学
 児童文学論
 児童文学の旅
 幼ものがたり
 幻の朱い実
 インタビュー「岩波児童文学」創刊のころ
 石井桃子全著作リスト
第2章 石井桃子の生涯
 幼いころ
 児童文学の世界へ
 農業時代
 海外留学
 子ども文庫とともに
 執筆生活
 年譜
第3章 石井桃子と私
 中川李枝子
 松居直
 松岡享子
 若菜晃子
 西村素

中川李枝子、松居直、松岡享子、若菜晃子、西村素/著
新潮社

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年6月18日 (水)

石井桃子の翻訳はなぜ子どもをひきつけるのか

140521_001  140521_002
サブタイトルは、「「声を訳す」文体の秘密」。
そう、石井桃子訳の本は、声に出して読んでも心地よいのである。
個人的には、創作ものより翻訳もののほうが好みだ。
世田谷文学館で石井桃子展が開催されたのは、4年前の2010年のことだった。

さて、本書はタイトルどおりの内容で、『「音声の声」「声の文化」「作品の声」といった「声」の3つの側面に注目しながら,石井の「声を訳す」という翻訳姿勢を明らかにしてい』(P.16「序章 「声を訳す」とは」)く試みである。
筆者の博士論文がベースで、「大きな手を加えることなく刊行」(「あとがき」より)されたそうだ。
したがって、一般的な読者を対象とした記述形式ではないように感じた。

また、第1章では、各版を比較して変更について考察しているのであるが、数値的な記述(図表を含む)のときには、もう少し緻密な数値データが欲しいと思った。
そして表記に関してになるが、本書は横書きであり、句読点は「,」「。」を使っている。
その用法を、引用した文章にも使っているのだが、もともと縦書きであったものが横書きになったことは本書の体裁上当然だろうとはいえ、横書きにしたことによって原文の句点を本書のルールに沿って変更することはどうなのだろうか?
読んでいる側としては、違和感を感じる。

「翻訳とは何か」と、あらためて考えさせられる。
翻訳は、単に日本語ではない原語で書かれたものを日本語に移し替えるといった、単純なものではない。
書き手の意図を読み手にいかに伝えられるか、歴史や文化が異なっていることや、役者の理解や解釈、文字だけではなく挿絵などとのバランスや作者の考えなど、さまざまな要因によって一冊の訳書が生まれる。
その論考のなかで、自分自身は「岩波こどもの本」で育ったといっても過言ではないが、「岩波こどもの本」が発刊される中で、いまの考え方からすればかなり問題のある編集が行われていたことを、あらためて確認することになってしまった。

成長期に読んだ訳文が身体に染みているようで、改訳されたものにはなかなかピンと来るものがないのだが、音楽に置き換えてみると、作曲家と演奏者の間に編曲者や指揮者がいて、訳者は編曲者や演奏者にあたるとも言えるかもしれない。
演奏者もまた、訳者の役割を担っているだろう。
たとえば、Jacques Loussier(ジャック・ルーシェ)のバッハは、翻訳であるのか、あるいは翻案や再話とされるのか。

所有しているプー本は、英語版(Puffin、1960年代)、岩波愛蔵版(実家にあり)、少年文庫版(1985の改版)、そして阿川佐和子訳の「ウィニー・ザ・プー」。
本書の刊行は2014年4月だから、阿川佐和子さんは本書を読んでいないはず。
もし「ウィニー・ザ・プー」の前に本書を読んでいたら、訳が変化したのかしなかったのかと、別の興味がわいてくる。

教文館によれば、さらに尾崎真理子さんによる石井桃子さんの評伝が出るそうな。

目次
序章 「声を訳す」とは
第I部 石井翻訳の原点と「声」
 第1章 『クマのプーさん』改訳比較にみる石井のこだわり
 第2章 『クマのプーさん』英日比較にみる石井らしさ
 第3章 「岩波少年文庫」シリーズと物語の翻訳
第II部 子ども読者と作品の「声」
 第4章 翻訳絵本の形
 第5章 子どもの読みと絵本『ちいさいおうち』の翻訳
 第6章 訳者の作品解釈とファンタジー『たのしい川べ』の翻訳
 第7章 訳者の精読と短編『おひとよしのりゅう』の翻訳
第III部 「語り」の文体の確立
 第8章 幼年童話と昔話の法則
 第9章 ポターの「語り(“tale”)」の文体
 第10章 ファージョンの「声の文化」の文体
 第11章 「語り」を絵本にした『こすずめのぼうけん』
 終章 石井の翻訳文体の源泉としての「声の文化」の記憶)
参考文献
あとがき
人名索引
事項索引

竹内美紀/著
ミネルヴァ書房

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年5月15日 (木)

考える人 2014年春号 海外児童文学ふたたび

140422_003
2014年はトーベ・ヤンソンの生誕100年、ということで表紙がトーベ・ヤンソンなのだなと思ったら、イギリスで刊行された「Tove Jansson Life, Art, Words」の表紙だ。
新潮社からの邦訳出版が予定されているらしい。

「私を育ててくれた一冊」に登場する本は、それぞれ執筆者の選んだ一冊ではあるが、一冊が選び出されるまでに数多くの「一冊」がある。
その数多くの一冊が、それぞれかけがえのない一冊だ。
そして、「阿川佐和子×福岡伸一 新訳で得た至福の時間」は、続きを期待したくなる。

目次
インタビュー
 角野栄子 アナザーワールドへのいざない
 トーべ・ヤンソン「仕事と愛」をモットーに ボエル・ウェスティン
 ムーミン谷の「孤独」と「連帯」 シルケ・ハポネン
 児童文学は「内なる子供」との対話 ウルフ・スタルク
 村岡花子──少女たちに寄り添い続けた人 村岡美枝・恵理
エッセイ
 二つの円 村山雄一
 児童文学の中の気になる大人たち 加藤ジャンプ
評論 
 テレビアニメが教えてくれた世界の名作 藤津亮太
私を育ててくれた一冊
 上橋菜穂子 『運命の騎士』
 柴門ふみ 『飛ぶ教室』
 富安陽子 『メアリー・ポピンズ』
 木原武一 『鏡の国のアリス』
 梯久美子 『雪の女王』
 河原理子 『長くつ下のピッピ』
 山極寿一 『さんご島の三少年』
 サンキュータツオ『モモ』
往復書簡
 阿川佐和子×福岡伸一 新訳で得た至福の時間
小特集
 石井桃子を読む
 略年譜・アルバム
インタビュー
 松岡享子 東京子ども図書館の40年
 谷川俊太郎 子ども、ことば、本
石井桃子のこの一冊
 松浦寿輝『たのしい川べ』
 川本三郎 『ノンちゃん雲に乗る』
 水村美苗『幻の朱い実』

新潮社

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年4月24日 (木)

ウィニー・ザ・プー

140402_102  140402_103
「新潮モダン・クラシックス」として、福岡伸一訳の「ドリトル先生航海記」とともに2014年3月に新潮社から刊行された。
プー作の詩などのことばあそびは、アリスの訳などと同じように、訳者の感性に基づく巧みさが求められるのだろうと思う。
「新訳」「改訳」といった言い方はあるが、その内容によっては読者は「改変」であったり「剽窃」と考えかねないとも思うので、本書のような石井桃子訳という「伝統」ある邦訳が存在している場合は訳者としても清水の舞台から飛び降りる思いだろう。

「カトルストン・パイ」を訳の一例にすると、石井桃子訳は「スズメは、はえないが ハエはすずめる ぼくになぞをとかせたら ぼくは答える」となっている部分は、阿川佐和子氏は「ハエは取りたい 鳥は生えない 僕になぞなぞを出してみて 答えてあげるから」と訳している。
どちらを好みとするか、これは読む者の感性にかかわってくるだろうし、長年にわたって身体の隅々に行きわたっている感のある石井訳から自由になって新しいプーの世界に入ることができるか、ということかもしれない。
Cottleston, Cottleston, Cottleston Pie,
A fly can’t bird, but a bird can fly.
Ask me a riddle and I reply:
“Cottleston, Cottleston, Cottleston Pie.”

ただ、挿絵はE.H.シェパードではないのは、版権との関係なのか、あえてそうしたのか。

本書は、「ドリトル先生航海記」の新薬とともに、読売新聞で紹介されていた。

A・A・ミルン/著
阿川佐和子/訳
新潮社(新潮モダン・クラシックス)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年9月 9日 (木)

クリストファー・ロビンの本屋

Books061
A.A.ミルンの一人息子による、「クマのプーさんと魔法の森」に続く自伝。
いわばその後のお話で、プーとは別に生き、戦争(第二次世界大戦)に行ったこと、本屋さんを営んだことが、イギリスの田舎町ダートマスの風景とともに語られる。

前作では、父や母のことが語られていたが、この作品では登場しない。
最後の最後になって、父の死、母の死と、そのことに対するクリストファーの思いがつづられるだけだ。
「間奏曲 クレア」の章、360ページ以上の本書のなかの、たった10ページに過ぎない部分だが、本書で一番の部分だと思う。
1996年4月20日死去。
重症筋無力症だったという。

クリストファー・ミルン(Christopher Milne)/著
小田島若子/訳
晶文社

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年6月27日 (日)

四日間の不思議

Books069
「四日間の不思議」は、A・A・ミルンの作品である。
「赤い館の秘密」の後、1933年に出たらしいが、英米では以後再刊されていないそうだ。
時代の古さを全く感じさせない、青春のおはなしでもある。
帯には「幻の長編ミステリ」との惹句があるが、ミステリではないだろう。
ご遺体が一体登場し、遺留品や足跡、警部も出てくるのだが、悪人は出てこない。
原題:Four Day's Wonder

A・A・ミルン/著
武藤崇恵/訳
原書房

| | コメント (0) | トラックバック (0)