赤い館の秘密【新訳版】
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/post-34ce.html
刊行は1921年とプーさんの1926年よりも前なので、帯の惹句はいかがと思うのだが。
それにしてもディテクティブストーリーには、探偵の動作、事件の環境、多数の関係者など、広い庭のある大邸宅の館がいかにもふさわしい。
そしてそうした大邸宅を描くことができる時代は、現代ではないのだろう。
ベヴァリーがギリンガムのことを「あなた」と呼ぶのは、どうも違和感。
友人同士で呼び合うとき、日本語では使うかしら。
集英社版では、「きみ」である。
2019年3月29日 (金)
クマのプーさん 原作と原画の世界 A.A.ミルンのお話とE.H.シェパードの絵


先日「グッバイ・クリストファー・ロビン 『クマのプーさん』の知られざる真実」を読み終わったばかりであるが、平行して読んでいた2月に行ったプーさん展の図録である。
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2019/02/post-dca7.html
本書からは、「グッバイ・クリストファー・ロビン」がどの程度意識さえているのかは、見えない。
また、Bunkamuraで「プーと大人になった僕」が上映されるようだが、せっかくのミルンとシェパードを台無しにしているとしか思えない。
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館は、承知なのだろうけれど。
プーさん展は、東京会場での開催はあと2週間ほど、GWから6月末までは大阪で開催される。
https://wp2019.jp/
Director's Foreword/序文
Introduction/はじめに
Chapter 1: We are Introduced/第1章 さて、お話ははじまります
Chapter 2: Pooh Goes to Print/第2章 プー、本になる
Chapter 3: The Art of Narrative: A.A. Milne/第3章 物語る術:A.A.ミルン
Chapter 4: The Art of Narrative: E.H. Shepard/第4章 物語る術:E.H. シェパード
Chapter 5: The Art of Narrative: Text and Image/第5章 物語る術:文章と絵の融合
Chapter 6: A Very Popular Bear/第6章 世界中で愛されているクマ
Endnotes/後注
Further Reading/関連図書
Picture Credits/写真クレジット
Acknowledgements/謝辞
Index/索引
2019年3月28日 (木)
グッバイ・クリストファー・ロビン 『クマのプーさん』の知られざる真実
本書は、著者の1990年刊行の「A. A. Milne: His Life」(1990年、未邦訳)をベースに「四冊の子どもの本が書かれた背景と、その驚異的な成功がミルンと息子のクリストファーとに与えた影響に関する中心部ぶんを取り出したもの」だそうで、映画にもなった。
映画を見たわけではないし、先ごろ見に行ったプーさん展に合わせたわけではないのだが、積ん読状態が長かったので、ようやく読んでみることにした。
タイトル明けを見ると、クリストファー・ロビンに関して書かれているのかと思ったのだが、そうではなく、アラン・アレクサンダー・ミルンの評伝である。
クリストファー・ロビン自身に関しては、「クマのプーさんと魔法の森」と「クリストファー・ロビンの本屋」は読んでいるので、クリスロファー・ロビン側からの父への思いとすれ違いは承知している。
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/post-28ee.html
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-d1ad.html
本書では、クリスロファー・ロビンと父との「亀裂」と「和解」については、それほど深く掘り下げているわけではない。
P.318に「父子に最後の亀裂が生じたのは、戦後のことだった」と書かれているが、P.319で「彼は、生身のクリスロファー・ロビンであることを忌み嫌う思いをまったく払拭できなかったものの、自分の店で四冊の有名な本を見たとき、ついに、父親を誇らしく思わざるをえないことを認めた」と描かれている。
あまりにもあっさりしすぎているのだが、元の「A. A. Milne: His Life」ではもっと書かれているのだろうか。
もっとも「訳者あとがき」で、著者の「A. A. Milne: His Life」を読んだことで、クリストファー・ロビンは「父から深く愛されたことを知る。父への長年のわだかまりが、これによって晴れたのであろう。電気を読んで、クリストファーは、伝記執筆を許可したあとも消えなかった疑問や不本意な気持ちがすっかりなくなり、「翔さんと幸福感以外は何も残っていない」と著者に書き送った」(P.330)とのことであるから、著者としては詳しく書くことを避けたのかもしれない。
クリストファー・ロビン(CR)の経過をたどっておこう。
19208月21日年 CR誕生
1924年 詩集「When We Were Very Young」(邦訳「クリストファー・ロビンのうた」)刊行
1926年 「Winnie-the-Pooh」(邦訳「クマのプーさん」)刊行
1927年 詩集「Now We Are Six」(邦訳「くまのプーさんとぼく」)刊行
1928年 「The House at Pooh Corner」(邦訳「プー横丁にたった家」)刊行
1939年 CR、ケンブリッジ大学に進学
1942年 CR、従軍
1947年 CR、戦後復学したケンブリッジ大学を卒業
1948年 CR、母方の従妹のレスリーと結婚
1951年 CRとレスリー、ダートーマスに書店開店
1956年1月31日、アラン・アレクサンダー・ミルン死去
1956年 CRとレスリーの娘クレア誕生
1971年 ダフネが死去
1974年 CR、「The Enchanted Places」(邦訳「クマのプーさんと魔法の森」1977年)刊行
1979年 CR、「The Path Through the trees」(邦訳「クリストファー・ロビンの本屋」1983年)刊行
1996年4月20日、CR死去
2012年 クレア死去
同じ第一世界大戦後に書かれた児童文学で、自身の子どもに書いたものといえば、ドリトル先生を忘れてはいけない。
ドリトル先生は、著者が自身の子どもたちのために書いたものが端緒であったが、物語のなかに子どもは登場させなかったのに対し、プーは同じように著者が自身の子どものために書いたけれど、物語のなかに子どもを登場させた。
また、ドリトル先生は、人間や動物たちが時にいがみ合う姿を見せる世界、必ずしも保護されてはいないでのエピソードであるのに対し、プーはいがみ合いのない保護された世界でのエピソードだ。
著者は、このあたりをどう評価するのだろうか。
また、1961年にディズニーが映像化権、商標使用権などを取得したが、これについては触れられていない。
個人的にはディズニーの映像は原作を破壊していると思っているが、著者はどう評価しているのだろうか。
一つの章に盛り込まれている内容が幾多もあったり、時代が行きつ戻りつすることなどがあるのだが、サブタイトルが附せらえれていたりやセクション分けがされていたりしてはいないので、読んでいて散漫に感じてしまう。
編集的に加えることはできなかったのだろうか。
日本語版に寄せて
序文 フランク・コットレル= ボイス
はじめに
この本を読む前に
1 劇作家
2 クリストファー・ロビンの誕生
3 ぼくたちがとても小さかったころ
4 プーの始まり
5 クマのプーさん
6 章の終わり
終わりに
著者アン・スウェイト(Ann Thwaite)について
主なA・A・ミルン(関連)の著作
訳者あとがき
アン・スウェイト/著
山内玲子/訳
田中美保子/訳
国書刊行会
http://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336062604/
2016年11月14日 (月)
プーの細道にたった家
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2014年8月 1日 (金)
石井桃子のことば
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2014年6月18日 (水)
石井桃子の翻訳はなぜ子どもをひきつけるのか
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2014年5月15日 (木)
考える人 2014年春号 海外児童文学ふたたび
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2014年4月24日 (木)
ウィニー・ザ・プー
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2010年9月 9日 (木)
クリストファー・ロビンの本屋
前作では、父や母のことが語られていたが、この作品では登場しない。
クリストファー・ミルン(Christopher Milne)/著
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2010年6月27日 (日)
四日間の不思議
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