« トーマの心臓 | トップページ | ベートーヴェンのピアノ・ソナタ4曲をゼルキンで »

2021年1月17日 (日)

サムライ使節団欧羅巴を食す

201116_021 201116_022
11月に箱根の富士屋ホテルに泊まりにいったとき、フォレスト・ウィングの「フォレスト・ラウンジ」の本棚に置いてあったのをパラパラとページをめくってみたのだが、入手してしまった。
(電子書籍だと、こうしたことはできないのだろうな)
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2020/11/post-37ef32.html

著者はベルギーで日本レストランを開いた人で、そうした経緯などから「ベルギーを含めたヨーロッパにやってきた日本人が、一体どんな食事をしていたのだろうか」「彼らがヨーロッパの地で日本食を食べることができたかどうか」(P.10)を調べていき、本書が生まれたようだ。
時代区分を幕末期の遣欧使節団や留学生たちを「親の時代」として、その後を「子の時代」「孫の時代」と区分して、ヨーロッパに行ったひとたちがどんな食事をしていたか、日本食を食べることができたかを追っている。
タイトルから想像できるテーマだけに興味をもって本書を読むと、「親の時代」ではテーマに沿った内容が書かれているのだが、「子の時代」「孫の時代」では、食事にまつわるエピソードは書かれているが、タイトルから想像できるテーマ・内容とは異なっているので、「親の時代」を読んでいたときの面白さには欠けるように思う。
ただし、不思議なことに、「子の時代」「孫の時代」に登場する人物は、「親の時代」の人物と少なからぬ関係を持っているのである。
むろん、そうした関係のある人を登場させたのかもしれないが、最後になって著者と登場人物とのつながりまで出てくるあたり、偶然なのか脚色なのか、考えてしまう。
とはいえ、これだけのエピソードを探し出し、結びつきをたどることができたのは、脱帽。

万延元年遣米使節(1860年2月9日(安政7年1月18日)品川沖から出発、11月9日(9月27日)帰国)はヨーロッパではないのでとりあげられていないので、以後のとりあげられた、幕末の使節団などをリストアップしておく。
・文久遣欧使節(1862年1月21日(文久元年12月22日)品川沖から出発、1863年1月30日(文久2年12月11日)帰国、福沢諭吉が通訳として参加)
・幕府留学生(1862年6月18日品川沖から出発,榎本武揚が参加)
・長州藩の密航(1863年5月12日(文久3年6月27日)横浜を出港、長州五傑(井上聞多(馨)、遠藤謹助、山尾庸三、伊藤俊輔(博文)、野村弥吉(井上勝))の渡航)
・薩摩藩の密航(1865年3月22日鹿児島を出港)
・池田使節団(1864年2月6日(文久3年12月29日)出発、7月22日(8月23日)帰国)
・柴田渡仏団(1865年(慶応元年閏5月)出発、1866年1月に帰国)
・幕府の留学生ロシア派遣(1865年(慶応元年)7月28日、箱館から出発、帰国は人によってまちまち)
・ロシア使節団(1866年10月12日横浜を出発、1867年5月に帰国)
・幕府の留学生イギリス派遣(1866年10月横浜を出発、1867年5月に帰国)
・パリ万博使節団(1867年2月15日出発、10月19日帰国、渋沢栄一が将軍名代としての徳川昭武の随員として参加)

パリ万博使節団については、渋沢栄一の大河ドラマでは、どのように描かれるのかしら。
なお、1866年4月に幕府は「海外渡航差許布告」を発令、商人や留学生の海外渡航が許されるようになった。
明治になってからの岩倉使節団(1871年)や、日本がはじめて公式に参加し岩倉使節団も視察したウィーン万博(1873年)には触れず、時代は一挙に1900年に飛ぶ。
そして、フランスやベルギー、オランダが中心で、ドイツやオーストリアが出てこないのはちと残念。

第一部 親の時代
 第一章 幕末遣欧使節団
 第二章 欧州五ヵ国交渉の旅
 第三章 派遣留学と密航留学
 第四章 使節団再派遣
 第五章 ロシアへの留学生と使節団
 第六章 一八六七・パリ万国博
第二部 子供の時代
 第七章 一九〇〇・パリ万国博
 第八章 文人たちのヨーロッパ
 第九章 もう一人の日本女優
第三部 孫の時代
 第十章 画家たちのヨーロッパ
 第十一章 大金持ちと貧乏詩人
 第十二章 パリ放浪記
おわりに
参考文献
あとがき

松本紘宇/著
現代書館
http://www.gendaishokan.co.jp/goods/ISBN4-7684-6849-7.htm

|

« トーマの心臓 | トップページ | ベートーヴェンのピアノ・ソナタ4曲をゼルキンで »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« トーマの心臓 | トップページ | ベートーヴェンのピアノ・ソナタ4曲をゼルキンで »