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2020年11月 1日 (日)

証言 沖縄スパイ戦史

200819_021  200819_022
映画は見ていないのだが、書籍として刊行されたので、読む。
http://www.spy-senshi.com/
新書版ながら700ページを超えるボリュームであるが、一挙に読ませる内容である。
つい先ごろ、「戦争は女の顔をしていない」を読んだばかりであるが、本書の「第一章 少年ゲリラ兵たちの証言」は、「戦争は女の顔をしていない」の数々の証言と重なる。
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2020/10/post-3994e5.html
戦後の、人に言うことができない状況も、重なっている。

関東でも、軍は、連合軍の本土上陸に対する準備を行っていた。
義勇兵役法との関係(P.192)、さまざまな教令との関係(P.688以降、P.740以降)は、本土ではどう活かされようとしていたのだろうか。
「国土決戦教令」(1945年4月)の「第十四 敵は住民、婦女、老幼を先頭に立てて前進し我が繊維の消摩を計ることあるべし斯かる場合我が同法は己が生命の長きを希はんよりは皇国の戦捷を祈念しあるべきを信じて騎兵撃滅に躊躇すべからず」「第十一 決戦間傷病者は後送せざるを本旨とす」、そして「国民義勇戦闘隊教令」(P.707以降)には、戦慄を覚える。
そこでは、軍による住民支配ではなく、住民による住民に対する監視と「処置」が規定されている。
以前読んだ「相模湾上陸作戦 第二次大戦終結への道」を、もう一度読んでみよう。
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2018/08/post-3798.html
そして、自衛隊は、どのような「教令」を持って、離島に配備されているのだろうか。

ゲリラ戦といえば、ベトナム。
ベトナムに行ったときに、ホーチミン市郊外のクチや、17度線に接したヴィンモック村に行き、説明を聞いたり展示物を見たりすることができたのだが、同じように「言えない」経験もあるのだろうか。
また、「ゲリラ戦になったら戦争は終わらないな(中略)アメリカが日本本土に上陸して完全に占領することをしなかったのは、やっぱり沖縄のゲリラ戦部隊の恩恵もあると思う」との証言もある(P.429)が、アメリカがベトナムで失敗したのは、沖縄が教訓となっていなかったということになる。
沖縄の「ゲリラ」に対して、アメリカはどんな評価をしていたのだろうか。
それは、ソ連とアフガニスタンとの関係も同様だろう。

本書の証言の数々は、さらに学術的な研究につなげていかなければならないと思うのだが、どうなるだろうか。

はじめに
第一章 少年ゲリラ兵たちの証言
第二章 陸軍中野学校卒の護郷隊隊長たち
第三章 国土防衛隊 陸軍中野学校宇治分校
第四章 スパイ虐殺の証言
第五章 虐殺者たちの肖像
第六章 戦争マニュアルから浮かび上がる秘密戦の狂気
補稿 住民はいつから「玉砕」対象になったのか
おわりにかえて—始末の悪い国民から始末のつく国民へ
教令一覧
本書関連地図
山王文献

三上智恵/著
集英社
https://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/1011-d/

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