« 戦争は女の顔をしていない | トップページ | 「藝⼤コレクション展2020 ―藝⼤年代記―」と特別展「桃山―天下人の100年」 »

2020年10月13日 (火)

ドイツ統一

200927_031  200927_032
1990年10月3日をはさんで、それまでの東西両ドイツ、「統一」後のドイツの、通史である。
あらたな事実はないが、30年経って当時を振り返るためにはとっつきやすい。
ただし、いくつか課題がある。
1989年10月9日のライプツィヒの月曜デモでの、クルト・マズアの役割は書かれていない。
SED機関紙「Neues Deutschland」を「新しいドイツ」と訳して表記しているが、訳語としてはそのとおりなのだが、「ノイエス・ドイチュラント」で通用するのではないか。
P.87に「一九八九年の秋にソヴィエト帝国が崩壊したとき」という記述があって、あれ、ソ連の崩壊は1991年12月だろうと思ったのだが、この「ソヴィエト帝国」は、ソ連を頂点として東欧諸国を含めた「東」を、著者のスタンスを表しているのだろう。
それはP.137でも同じ考え方で「ソヴィエト帝国」が使われている。

2018年にドイツに行ったとき、ドレスデンの「ドイツ民主共和国の世界」(Die Welt der DDR)という、DDR時代のさまざまなものが展示されている博物館に行ったのだが、教室が再現されているエリアで1989年5月14日のパレードの映像が流れていた。
そのとき、自由ドイツ青年団(Freie Deutsche Jugend、FDJ)の映像で行進曲と歌が流れると、映像を見ていた年配男女が合わせて歌っていた。
同時代の人たちなのだろうが、四半世紀が過ぎ、どのような思いを持っているのだろうか。
その人たちに尋ねることができれば訪ねたかったけれど、アジア人がそばにいるのに当時の歌を歌ってしまうのは、やはりオスタルギーの一面だったのだろうか。
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2018/07/10_2-die-welt-d.html

P.115以降に旧ドイツ領のことがとりあげられている。
本書では、ポーランドとの国境確定での旧ドイツ領だけであるが、旧ドイツ領については、『旧ドイツ領全史 「国民史」において分断されてきた「境界地域」を読み解く』が詳しく取り扱っている。
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2020/09/post-9ed135.html

原著は「Geschichte der deutschen Wiedervereinigung」(ドイツ再統一の歴史)であるが、あえて「統一」としたことについては、訳者がCDUに所属する保守派の著者の評価とともに、解説で詳しく書いている。

「読書案内」があるので、リストアップしておこう。
★は、既読。
また、本源的蓄積がすすむのだろうか。
図説 ドイツの歴史(河出書房新社)★
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-964d.html
ドイツの歴史を知るための50章(明石書店)
自由と統一への長い道(昭和堂)
二つのドイツ 1945-1990(岩波書店)★
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/1945-1990-9035.html
ベルリンの壁 ドイツ分断の歴史(洛北出版)★
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/post-6108.html
ヨーロッパに架ける橋 東西冷戦とドイツ外交(みすず書房)
東ドイツ史 1945-1990(白水社)
物語 東ドイツの歴史(中公新書・予定)
ゴルバチョフ その人生と時代(白水社)
冷戦終焉二十年 何がどのようにして終わったのか(勁草書房)
東欧革命1989 ソ連帝国の崩壊(白水社)
1989 東ドイツ史(作品社)
われらが革命 1989年から90年 ライプチッヒ、ベルリン、そしてドイツの統一(彩流社)★
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/198990-cf8e.html
歴史としてのドイツ統一 指導者たちはどう動いたか(岩波書店)

第1章 革命前夜
第2章 平和革命
第3章 国民をめぐる転換
第4章 再統一と世界政治
第5章 編入による統一
結語
訳者解説
略語表
解題付き文献表
関連年譜
人名索引

アンドレアス・レダー/著
板橋拓己/訳
岩波書店
https://www.iwanami.co.jp/book/b527921.html

|

« 戦争は女の顔をしていない | トップページ | 「藝⼤コレクション展2020 ―藝⼤年代記―」と特別展「桃山―天下人の100年」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 戦争は女の顔をしていない | トップページ | 「藝⼤コレクション展2020 ―藝⼤年代記―」と特別展「桃山―天下人の100年」 »