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2020年7月17日 (金)

ペスト(デフォー)

200509_011  200509_012
読むのなら、「緊急事態宣言」が解除され、「東京アラート」も解除された後に新規感染者が急激に増加しているいまだろうと、手に取る。
ノン・フィクションっぽい書きぶりだが、デフォーは1660年生まれだから1665年のペストは体験話ではありえず、これはデフォーの1722年に出した創作である。
ただし、多くの資料には基づいている。
ちなみに、「ロビンソン・クルーソー」が世に出たのは、1719年であった。
1665年は、どのような時代だったか。
清教徒革命(1642)、共和制(1649)、王政復古(1660、デフォーの生まれた年)と続いた英国だが、日本では第4代将軍徳川家綱の時代。

H.F.氏は、「それはたしか一六六四年の九月初旬のことであったと思う。」から始まって、「その年に私が書いた備忘録の最後のところに書きつけておいたものである。」と引用する詩の一句で終わる本書は、章立てなどはなく、ロンドンを観察し、資料や巷の話を集め、本書に描いていく。

ペスト流行に対処するためにロンドン市はさまざまな布告を出したが、そのなかに「放蕩無頼の徒およb有害無益な集会に関する法令」というのがあって、ここには「芝居」や「歌舞音曲」、「その他雑踏を招くような催事はいっさいこれを禁止する」という内容や、「料亭、居酒屋、コーヒー店、酒蔵における過度な痛飲は」「厳重に取り締まる必要がある」という記述がある。(P.86)
補償については何も書かれていないので、そのような対応はなかったのだろう。
350年経っても、同じだ。
ただ、「市内および郊外に住む金持ちからの義捐金」のみならず「地方からの義捐金」が集まり、貧しい人々に配られたらしい。(P.381~382)
また、ロンドンから逃げ出した医者や牧師に対しては非難ごうごうのようだったらしく、戻ってきた者の家の玄関には中傷するビラがはられていたようだ。(P.420)
これも、「自粛警察」と根っこは同じだろう。
つい先日までの「絆」は、どこに行ってしまったのか。

ダニエル・デフォー/著
平井正穂/訳
中央公論新社
http://www.chuko.co.jp/bunko/2009/07/205184.html

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