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2019年10月12日 (土)

空白の天気図 核と災害 1945・8・6/9・17

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戦後すぐに鹿児島に上陸し、日本列島を縦断し、甚大な被害を及ぼした枕崎台風にまつわる広島の記録である。
ちょうど台風19号が接近しつつあるさなかに読んでいたので、テレビでは気象庁が「狩野川台風」との類似性を指摘しているのだが、個人的には枕崎台風のほうがイメージしやすいと思いながら、本書を読み進めた。
柳田邦男氏については、様々な分野で様々な評論を出しているが、本書執筆にあたっては膨大な資料の読み込みと執筆に、多大なエネルギーを使ったであろうと、その点については大いに評価したい。

中央気象台と広島気象台との関係で、「中央気象台の幹部は大学出や養成所本科出のエリートを中心とするいわば貴族の集団であったのに対し、地方気象台や測候所の職員はとにもかくにも定時の観測データを中央に送ることを守り抜かねばならぬ歩兵の集団であった。・・・中央は地方に無限の奉仕を求めるが、決して地方に対しては無限の奉仕はしない。ときには切り捨てることさえある。」は、1945年に限ったことではない。
先般の15号台風における「中央」の動きは、1945年の中央をなぞっていたのではないか。
まもなく東京を通過するであろう19号台風ではどうだろうか。

「この世界の片隅に」の原著ではこの枕崎台風のエピソードが挿入されているのだが(映画ではカット)、「ほんまに迷惑な神風じゃ!」と笑い飛ばす。
実際の枕崎台風がそのように笑い飛ばすことができる台風ではなかったことは、呉にいたのでは理解できなかったからのかもしれない。
しかし、こうのさんがあえてこうしたシーンで描いたのは、「理解できなかったから」ではないだろうと考えるのだが、はたしてどんな想いがあったのだろうか。
「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」では枕崎台風は描かれるらしいので、ちゃんと見ておこう。

序章 死者二千人の謎
第1章 閃光
第2章 欠測ナシ
第3章 昭和二十年九月十七日
第4章 京都大学研究班の遭難
第5章 黒い雨
終章 砂時計の記録
あとがき
文春文庫版へのあとがき
六十六年後の大震災・原発事故に直面して
主要参考資料
解説 鎌田實

柳田邦男/著
文藝春秋
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167240202

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