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2019年8月 4日 (日)

アール・ヌーヴォーの残照

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著者自身が訪れ撮影した世界各国の「アール・ヌーヴォー」な建築物の数々、なかにはこの建物もアール・ヌーヴォーなの?と思ってしまうものもあるが、「講義」のアール・ヌーヴォーとして捉えればいいだろう。

「イギリス」の章に「ラファエル前派」と題する文章がある。
春に「ラファエル前派の軌跡展」に行ってきたので、この文章はチェックしてみた。
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2019/03/post-bcc2.html
展覧会では、ウィリアム・モリスの「Arts and Crafts」がアール・ヌーヴォーの先駆だとしても、ラファエル前派と「Arts and Crafts」との関係がよく分からないで終わったのだが、ウィリアム・モリスはラファエル前派のダンテ・ゲイブリエル・ロセッティを師とし、またセッティのモデルを務めた女性がウィリアム・モリスの妻となったようだ。
本書には「ロセッティは親友ウィリアム・モリスの妻ジェーンの連作を描き、ついには結婚する」と書かれているが、関係はあったようだが結婚に至ったわけではないようだ。

ジョルナイ工房の「ギュギ・コレクション」(P.263)の陶磁器は、宮川香山の高浮彫を彷彿とさせる。
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2016/02/100-de94.html

「現在の共産主義体制国家ロシアの首都モスクワ市民の99%は集合住宅に住んでいる。」との文章があり、共産主義時代に「貧富の差によって生まれる個人住宅の所有は許され」ず、モスクワ市内の個人住宅はあらかた取り壊され、集合住宅に建て替えられた」と続く。(P.324)
前段の「現在の共産主義体制国家ロシア」、ううむ、謎。
後段の個人住宅の所有は許されなかったとしても、市内の個人住宅とは元は個人所有の邸宅だったマンションを集合住宅に建て替え、あるいは改造した、ということではないか。
モスクワに限らず、ヨーロッパの多くの都市の建物は、そうした歴史を持っているのではないか。
メトロポールホテル(P.328)は、先日読んだ「モスクワの伯爵」が住んでいたホテルだ。
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2019/07/post-453166.html

P.444に、ウラジオストック駅の手書きのスケッチに『「BARAUBOGTOK」と大きく書いてある』という記述があり、そのスケッチを見ると、案の定キリル文字の「ВЛАДИВОСТОК」であるのだが、編集者はこの辺りのチェックはスルーしてしまったのだろうか。

P.459に大連の旧横浜正金銀行の写真がある。
設計は妻木頼黄と太田毅で1909年竣工、ドームが三つあるが、このドームの形状は、横浜は馬車道にある神奈川県立歴史博物館、横浜正金銀行本店のドームとそっくりだ。
横浜正金銀行本店の設計は妻木頼黄で、1904年竣工。

小谷匡宏のヒューマニズム 建築家・隈研吾
はじめに
アールヌーヴォー建築とは
各国のアールヌーヴォーの名称
1 イギリス:ウィリアム・モリス/チャールズ・レニー・マッキントッシュ/チャールズ・ハリソン・タウンゼント/ヨーク/ラファエル前派
2 ベルギー:ヴィクトール・オルタ/アンリ・ヴァン・ド・ヴェルド/ポール・アンカール/ギュスターブ・ストローヴァン/ポール・コーシー/ブリュッセル ゲント アントワープ
3 フランス:エクトール・ギマール/ジュール・ラヴィロット/エミール・アンドレ/アンリ・ソヴァージュ/リュシアン・ヴァイセンビュルガー/オーギュスト・ペレ/パリ ナンシー/メッス 74
4 オーストリア:オットー・ワーグナー/ヨゼフ・マリア・オルブリッヒ/ヨゼフ・ホフマン/オットー・シェーンタール/アドルフ・ロース/ルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン/アルマ・マーラー/ウィーン/トウルン
5 ドイツ:ペーター・ベーレンス/ブルーノ・タウト/エリッヒ・メンデルゾーン/フリッツ・ヘーガー/ベルンハルト・ヘットガー/ミュンヘン/バーデン・バーデン/マンハイム/ワイマール/エアフルト/ヴォルプスヴェーデ/ヴィースバーデン
6 イタリア:ピエトロ・フェノーリオ/ジョヴァンニ・ミケラッツィ/ジュゼッペ・ソマルーガ/エルネスト・バジーレ/ジュゼッペ・ブレガ/ジュリオ・ウリッセ・アラタ/トリノ
7 オランダ:ヘンドリックス・ペトルス・ベルラーヘ/ウィレム・クロムハウト/ヨハン・メルヒオール・ファン・デル・メイ/ミハエル・デ・クレルク/ピッテル・ロードウェイク・クラメル/ヨハン・ルドヴィクス・マテウス・ラウエリクス/アムステルダム/ユトレヒト/デン・ハーグ
8 スペイン:アントニ・ガウディ・イ・コルネ/ルイス・ドメネク・イ・モンタネル/ジョゼップ・プーチ・イ・カダファルク/ジュゼッペ・マリア・ジュジョール・イ・ジベルト/バルセロナ/サン・ジョアン・デスピ
9 ボルトガル:リスボン
10 ルクセンブルク:ルクセンブルク
11 スイス:ル・コルビュジエ(シャルル・エドゥアール・ジャンヌレ)/ルドルフ・シュタイナー/バーゼル
12 ハンガリー:レヒネル・エデン/ライタ・ベーラ/コモル&ヤコブ/ヘゲデーシュ・アールミン/バウムガルテン・シャーンドル/マールクシュ・ゲーザ/マジャール・エーデ/メンデ・バレール/ヤーンボル・ラヨシュ/ボルゾ・ヨーゼフ/アールカイ・アラダール/コーシュ・カーロイ/ピルヒ・アンドール/ジョルナイ工房/ブダペスト
13 チェコ:オズワルド・ポリーフカ/ヤン・コチェラ/ヨゼフ・ファンタ/プラハ/プルゼニュ/カルロヴィ・ヴァリ/マリアーンスケ・ラーズニエ/チェスキー・クルムロフ/チェスケー・ブディエヨヴィツェ/湖畔に建つアールヌーヴォー
14 スロヴァキア:ブラチスラヴァ
15 ルーマニア:ヴアーゴ・ラースロー・ヨージェフ兄弟/リマノーツィ・カールマーン
ティミショアラ クルージ・ナポカ アラド トゥルグ・ムレシュ 294
16 ブルガリア:プロヴディフ/コプリフシティツァ
17 スロベニア:ヨージェ・プレチニック/マックス・ファビアーニ/シリル・メトッド・コック
18 セルビア:ライヒレ・フェレンツ/ベオグラード/スボティツァ
19 クロアチア:スプリット/ザグレブ
20 ボスニア・ヘルツェゴビナ:サラエボ
21 マケドニア:スコピエ
22 ロシア:フョードル・シェーフテリ/モスクワ/サンクトペテルブルグ
23 ウクライナ:ギエフ/オデッサ/リヴネ (ロブノ)
24 ポーランド:ワルシャワ
25 フィンランド:エリエル・サーリネン/ラルシュ・ソンク/ヘルシンキ
26 スウェーデン:ラグナル・エストベリ/ストックホルム
27 デンマーク:コペンハーゲン
28 ノルウェー:アールヌーヴォーの街 オーレスンの無名の建築家達/オスロ/ベルゲン
29 ラトヴィア:ミハイル・エイゼンシュタイン/リガ
30 エストニア/タリン
31 アイルランド:タブリン
32 アゼルバイジャン:バクー
33 ジョージア:クタイシ/トビリシ
34 トルコ:ライモンド・ダロンコ/イスタンブール/イズミール
35 アメリカ:ルイス・ヘンリー・サリヴァン/マッキム、ミード、ホワイト/フランク・ロイド・ライト
36 アルゼンチン:
アルゼンチンのアールヌーヴォー建築概観/フリアン・ハイメ・ガルシア・ヌーニェス/ビルヒニオ・コロンボ/エンリケ・フォルカース/エンリケ・ロドリゲス・オルテガ/ルイ・デュボワ、パブロ・パテル、エミリオ・ユジュ
37 メキシコ:メキシコシティ
38 モロッコ:マラケシュ
39 ペルー:リマ/クスコ
40 チュニジア:チュニス
41 インド:ダージリン
42 マレーシア:クアラルンプール/ジョージタウン
43 ベトナム:ホーチミン/フエ/ハノイ
44 ブータン:ティンプー/パロ
45 ネパール:カトマンズ/バクタブル
46 中国:ハルビン/長春/瀋陽/大連/青島
47 日本:辰野金吾、武田五一、岩元禄/田上義也/今井兼次/板谷波山
コラム 世界初のアールヌーヴォー建築はなにか
コラム アールヌーヴォーを捜しにゆく:スリランカ/ブルネイ/ニュージーランド/ベラルーシ/モルドバ/ウズベキスタン/カンボジア/シリア/タイ/インドネシア
あとがき
参考文献

小谷匡宏/著
三省堂
https://www.books-sanseido.co.jp/soeisha_books/303632

 

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