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2019年7月21日 (日)

[共同研究]1848年革命

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1979年の刊行、40年前の知見であるという前提で、読む。
良知力さんが書いたのは49歳の頃、良知力さんらしさはまだ生まれていないようで、ずいぶん固い文章だし、分析も機械的な印象を受ける。
一八四八年革命というと、イタリア、フランス、オーストリア、ドイツといったところは様々な文献などで知る機会は多いが、本書でハンガリーやチェコの革命についても論考されているのが良かった。
ハンガリーについては、その後の第一次世界大戦後と第二次世界大戦後の動き、1956年、そして1989年と、歴史の前面に出てくる動きがあったが、そうした歴史の経験は、現代のハンガリーを規定しているのか規定していないのか。
チェコについては、GWにプラハの街を歩いたので、1848年当時とは街並みは異なっているだろうが、その街のバリケードが築かれたツェレトナー通りや広場などの景色を思い浮かべながら、本書を読み進めることができた。
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2019/04/post-17e252.html

民主主義と社会主義、独裁政治と立憲政治、そこに民族の問題が加わると、一挙に複雑な情勢となる。
それは、いまの日韓関係が、政治的経済的な課題の解決以上に、民族観、そして歴史認識との関係から解決に向けていかなければならないのと同じようなことが起きていたのだろう。
本書では、「ドイツ人民主主義者はドイツ国内では国家統一をめざし、国外では諸民族の解放を提唱していたにもかかわらず、プラハ蜂起を民族主義的陰謀と規定することによってその非「コスモポリタン」的性格をあらわにした。(中略)こうして反革命の台頭は、ドイツ人がボヘミアのこの時期の運動の内実を正しく評価しなかった点に一因があった」(P.335~336)とする一方、「チェコ人民主主義の運動は地域的であり(中略)、地域主義を前面に押し立てたへ個人の運動は、ドイツ人にとってなんら民主主義的なものではなく、たんなる民族主義的運動と映ったのである」(P.336)としている。
こうした評価は、現在ではどうなっているのだろうか。

5月にウィーンに行っときに軍事史博物館に行ったら、ウィーン1848革命の展示があった。
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2019/05/post-e1a12b.html
市民側のビラだか政府側の布告だか、これを読めればいいなあと思ったものだ。

良知力さんの著作は、オーストリア関連でずいぶん読んできた。
向う岸からの世界史 一つの四八年革命史論(1978年)
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-d888.html
1848年の社会史 ウィーンをめぐって(1986年)
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/1848-668b.html
女が銃をとるまで 若きマルクスとその時代(1986年)
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/post-079d.html
青きドナウの乱痴気 ウィーン1848年(1985年)
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/1848-d245.html

あと、こうした著書がある。
ドイツ社会思想史研究
初期マルクス試論 現代マルクス主義の検討とあわせて
マルクスと批判者群像
魂の現象学 一社会思想家として
ヘーゲル左派論叢 第1,3,4巻
ヘーゲル左派と初期マルクス

増谷英樹さんの著書や訳書も読んでいる。
歴史のなかのウィーン―都市とユダヤと女たち(著書・1993年)
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-2237.html
図説 ウィーンの歴史
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2017/03/post-8f65.html
ビラの中の革命―ウィーン・1848年(著書・1987年)
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2018/01/1848-23d9.html
橋 ユダヤ混血少年の東部戦線(訳書・1990年)
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2018/03/post-1740.html
ドイツ戦争責任論争(訳書・1999年)
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2018/07/post-f14f.html
1848年 ウィーンのマルクス(訳書・1998年)
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2018/10/1848-a355.html

序論
 一八四八年革命の概観と研究の課題 増谷英樹
第一章 革命思想の構造
 マルクス=エンゲルスにおける四八年革命論の基礎構造 良知力
第二章 労働者の状態と運動
 革命前夜のベルリン労働者 川越修
 「フランクフルト労働協会」と九月蜂起 増谷英樹
第三章 民主主義者・共産主義者
 四八年革命における共産主義者同盟 松岡晋
 一八四九年バーデン革命の起点 上野卓郎
第四章 農村蜂起の性格
 オーデンヴァルト農村の運動 藤田幸一郎
第五章 民族運動の展開
 ハンガリーにおける四八年革命 南塚信吾
 プラハ六月蜂起とスラヴ民族主義 稲野強
文献・史料案内
あとがき
付録 一八四八年革命史年表

良知力/編
大月書店
http://www.otsukishoten.co.jp/book/b51802.html

 

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