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2019年6月16日 (日)

敗北者たち 第一次世界大戦はなぜ終わり損ねたのか 1917-1923

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本書は、第一次世界大戦は「終わり損ね」、ロシア革命を含めて「世界大戦から混沌に満ちた「平和」への暴力的な移行」(P.20)であったという提起が、本書のテーマである。
確かに、第一世界大戦が終わったからといって、武力を用いた紛争のすべてが終わったわけではないのは、ロシア革命とその後の内戦や諸国の干渉を思い起こせば明らかであるが、ロシア以外の地域でも暴力の連鎖が続いた。
ということは、ドイツ、ハプスブルク、ロシア、オスマンといった「帝国」が縛り付けていたタガが外れたことで、多くの混乱が生じたということだろう。
ウィルソン米大統領の示した「民族自決」が、「民族の牢獄」とされていたヨーロッパの複雑な民族構成とそれぞれの民族の居住エリアにおいて、どのように理解されたのか。
そして、「民族」が正面に立ったことで、戦争における「敵」概念は、戦闘員と非戦闘員との区別をなくし、同一民族であっても「裏切り者」は敵とされていったことは、ウィルソン米大統領の「民族自決」とはそもそも何だったのかと、考えさせる。
第一次世界大戦後の世界史の見方、第二次世界大戦との連続性に、あらたな視点を示してくれる。
加えて、第二次世界大戦が終わったのか終わり損ねているのかについても、思いは巡る。

しかし、のっけから訳者補足が多々入るのである。
書評のなかには、訳者の努力とするものもあったが、その数がどのくらいになるのかわからないが、何しろその数が多いので、本書そのものへの信頼を失ってしまう。

プロローグ
第一部 敗北
 第一章 春の列車旅行
 第二章 ロシア革命
 第三章 ブレスト=リトフスク
 第四章 勝利の味
 第五章 運勢の反転
第二部 革命と反革命
 第六章 戦争は終わらない
 第七章 ロシアの内戦
 第八章 民主主義の見せかけの勝利
 第九章 急進化
 第十章 ボリシェヴィズムの恐怖とファシズムの勃興
第三部 帝国の崩壊
 第十一章 パンドラの箱――パリと帝国問題
 第十二章 中東欧の再編
 第十三章 敗れたる者に災いあれ
 第十四章 フィウーメ
 第十五章 スミルナからローザンヌへ
エピローグ――「戦後」と二〇世紀半ばのヨーロッパの危機
謝辞
訳者解題
写真出典
原註
参考文献
事項索引
人名索引

ローベルト・ゲルヴァルト/著
小原淳/訳
みすず書房
https://www.msz.co.jp/book/detail/08761.html

 

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