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2019年6月11日 (火)

岩倉使節団の群像 日本近代化のパイオニア

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「第1章 岩倉使節団は徳川文明の凱旋門である」では、「徳川人こそが明治国家をつくった」という視点で、江戸時代の西洋研究にスポットを当てている。
この視点は明治をどう評価するかにつながるものと思うのだが、「徳川時代は暗黒だったという史観がある」以下の「史観」の記述(P.12~)は、シンポジウムが行われた当時美術館長という職にある人の記述とはとても思えない、
その前で「米欧回覧実記」について、外交史の研究者、国文学者、外国文学の研究者たちがこれを無視をしたことを批判している(P.4)が、徳川の繁栄はあるとして、その繁栄を支えた人たちは誰あったのか、どのような境遇にあった人たちだったのか、そうしたことに触れずに「徳川がもたらした平和とその文明の礼賛」(P.12)をしても、執筆者が批判した外交史の研究者、国文学者、外国文学の研究者たちの「米欧回覧実記」に対するありようと同じではないか。
光と影をどう見るかについても然り。
なぜ徳川人が当の徳川の世を倒そうとしたのか、徳川の世になぜ尊皇攘夷思想が生まれたのか、あるいは明治以降の農村の窮状は明治になって生まれたのではないことなどを見なければ、とても「両脚人間」と自負することはできないのではないか。
いきなりの芳賀氏の御説があったせいかもしれないが、なんだか、もやもや感が残ったのであった。
歴史に何を探るか、向き合うスタンスが違うということだろう。

「第11章 安場保和」で鶴見俊輔さんの名前が「曾孫」として出てくる。
鶴見俊輔さんの父は鶴見祐輔さん、母は愛子さん、鶴見愛子さんの父は後藤新平さん、母は後藤和子さん、後藤和子さんが安場保和の次女。

「徳川がもたらした平和とその文明の礼賛を目的とした展覧会」には、行った。
http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2016/09/post-79f7.html

まえがき
第I部 岩倉使節団の群像
 第1章 岩倉使節団は徳川文明の凱旋門である(芳賀徹)
 第2章 知られざる岩倉使節団の群像(小野博正)
 第3章 大使・副使たち──岩倉具視・木戸孝允・大久保利通・伊藤博文・山口尚芳(泉三郎)
 第4章 『米欧回覧実記』の編著者・久米邦武、晩年の境地(M・ウィリアム・スティール)
 第5章 林董──箱館戦争の戦士から日英同盟の立役者へ(岩崎洋三)
 第6章 金子堅太郎──日本文明の伝播者・広報外交の先駆者(吹田尚一)
 第7章 田中光顕──影の元老ともいうべき黒幕的な巨魁(小野寺満憲)
 第8章 團琢磨──鉱山技師から三井財閥の総帥・財界のトップへ(桑名正行)
 第9章 吉原重俊──薩摩のボッケモン、初代日本銀行総裁へ(吉原重和)
 第10章 渡邉洪基──明治社会のマルチ・オーガナイザー(赤間純一)
 第11章 安場保和──地方行政の国士的キーマン(芳野健二)
 第12章 井上毅──明治国家の骨格を造った思想家・大法制家(小野博正)
 第13章 山田顕義──ナポレオンに傾倒、軍事家から法律家へ(根岸 謙)
 第14章 田中不二麿──国民主義の教育を志向(大森東亜)
 第15章 新島襄──同志社創立・キリスト教主義教育・社会福祉(多田直彦)
 第16章 津田梅子ら女子留学生たち──女子教育のパイオニア(畠山朔男)
 第17章 長与専斎──医療法制・衛生行政の父(西井易穂)
 第18章 畠山義成──『米欧回覧実記』の影の記者・文部行政の先駆者(村井智恵)
 第19章 岩倉使節団は明治国家に何をもたらしたか──その光と影(パネル・ディスカッション)(五百旗頭薫/芳賀徹/M・ウィリアム・スティール/マーティン・コルカット/泉三郎/小野博正)
第II部 歴史のなかに未来が見える
 第20章 日本近代150年をどう見るか──「起承転結」の試み(保阪正康)
 第21章 岩倉使節団から150年──いま日本に何が必要か(五百旗頭真)
 第22章 日本の価値観──三層・二元構造について(山折哲雄)
 第23章 美味し国・ニッポン(近藤誠一)
 第24章 岩倉使節団の世界史的意義──地球時代の日本の未来像を求めて(パネル・ディスカッション)(泉三郎/芳賀徹/保阪正康/近藤誠一/アレックス・カー/橘木俊詔/塚本 弘)
資料 岩倉使節団団員ミニ列伝(小野博正)
米欧亜回覧の会設立20周年記念グランドシンポジウム「岩倉使節団の世界史的意義と地球時代の日本の未来像」プログラム
人名索引

米欧亜回覧の会/編
泉三郎/
ミネルヴァ書房
http://www.minervashobo.co.jp/book/b379595.html

 

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