« 深呼吸の必要 | トップページ | 新・北斎展 »

2019年1月18日 (金)

悪と全体主義―ハンナ・アーレントから考える

181209_001  181209_002
100分de名著「ハンナ・アーレント 全体主義の起源」をベースに、加筆・再構成されたもの。
「全体主義の起源」全3冊を読み終えた(1年半ぐらいかかったか)ところで、ひとつの解説として読んでみることにした。
アーレントの著作を、平易な言葉で分かりやすくなぞり必要な解説を加えているので、ああ、そういうことだったかと気づくことも多かった。
ただし、本書は「ひとつの読み方」である、ということは、忘れてはならないだろう。

「現実世界の不安に耐えられなくなった大衆が「安住できる世界観」を求め、吸い寄せられていく──その過程を、アーレントは全体主義の起源として重視」(P.10~11)したのだが、それは過ぎ去った過去の出来事ではない。
現代の、日本を含めた世界はいま、私たちを取り巻いている「極度の不安は、明快で強いイデオロギーを受け容れやすいメンタリティ」(P.11)をすでに人々の心の内に生み出している状況にあるのではないか。
そうした状況、「自分が置かれている状況の変化をきちんと把握しつつ、「分かりやすい」説明や世界観を安易に求めるのではない姿勢を身につけるには、どうすれば良いのか」(P.11)。

「陰謀論的プロパガンダによって、人々の「世界」に対する見方を次第に均質化し、それによって「複数性」を衰退させるとともに、秘密警察などの取り締まりと威嚇によって、「活動」のための「間の空間」をも消滅させてしまう政治体制」(P.207)たる全体主義に陥らないために私たちがなしていかなければならないことは、「いかなる状況においても「複数性」に耐え、「分かりやすさ」の罠にはまってはならない──ということであり、私たちにできるのは、この「分かりにくい」メッセージを反芻しつづけること」(P.195)が、私たちに求められ、努力しなければならないこと、ということになるか。

はじめに─今なぜアーレントを読むか
序章 『全体主義の起原』はなぜ難しいのか?
第1章 ユダヤ人という「内なる異分子」
第2章 「人種思想」は帝国主義から生まれた
第3章 大衆は「世界観」を欲望する
第4章 「凡庸」な悪の正体
終章 「人間」であるために

仲正昌樹/著
NHK出版

|

« 深呼吸の必要 | トップページ | 新・北斎展 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 悪と全体主義―ハンナ・アーレントから考える:

« 深呼吸の必要 | トップページ | 新・北斎展 »