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2018年6月 5日 (火)

憲法が生きる市民社会へ

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内田樹氏、石川康宏氏、冨田宏治氏の三氏による鼎談である。

注目すべき視点はいくつもあるが、ひとつは中国をどう見るかというところで、内田氏はAIIBや一帯一路を「中国版ニューディル政策」とみる。
簡単に言えば、中国は、相手国にお金を貸す、その資金で高速道路や鉄道を建設、受注は中国企業、現場に中国の余剰労働者を送り込む、特権階級と圧倒的多数の貧民の二極化を抑制し中間階級をつくろうとしている。
(「2.日本の政治をどうみるか」の「完全雇用をめざす中国」「結果的に一番成功している中国」)
そして内田氏は、日本の政治が劣化した最大の原因は「語るべきビジョンがないこと」とし、未来に何も期待できないので、妄想的に「美しい過去」を脳内で構成して、そこに回帰しようとしている。
また、自信のなさが反転した安倍晋三の攻撃性と異常な自己愛は「滅びかけている国」の国民たちの琴線に触れる、彼をトップに押し上げているのは、日本の有権者の絶望。
(「2.日本の政治をどうみるか」の「未来なき政治家の典型が安倍晋三」)

2018年2月21日に開催された鼎談「憲法が生きる政治へ」(西宮革新懇主催)をまとめたもので、90ページに満たないが、中身は濃い。

1.今の世界をどうみるか
 目の前に展開する凄まじい世界
 格差拡大の背後にあるマネー経済の肥大化
 従来政治の行き詰まりとトランプ、サンダースの登場
 市民と野党の7項目の合意
 階層の2極化で経済は停滞へ
 誰もこのシステムを止められない
 AI導入で職種がまるごと消失も
 ウォール街のエコノミストたちの心配
 やがて新聞もテレビも
 進行する国民的分断
 「時代の気分」にジャストフィットする政治
 「正直であれ」と政治家に向かって言わなきゃいけない時代

2.日本の政治をどうみるか
 お互いに見ている世界が違う
 経済社会の「賢明な管理」が再び語られはじめた
 「真の敵」を見据えること
 世界史の流れに逆行する「海外で戦争する国づくり」
 完全雇用をめざす中国
 結果的に一番成功している中国
 再分配で成り立つ経済
 根底にある戦後日本政治の特異性
 外交戦略なき軍事力信奉
 自民党政治からの転換への希望
 対米従属を通じての対米自立
 「アメリカの手にある国家主権」を買い戻す
 呆然自失状態のうちにある
 未来なき政治家の典型が安倍晋三

3.対米従属と安倍改憲
 強烈な戦前型「神の国」の思想
 沖縄への差別意識を自問して
 改憲阻止の鍵は天皇とアメリカ
 天皇の憲法擁護義務と安倍政権の矛盾
 アジア諸国は改憲を歓迎しない
 人事を尽くして天命を待つ
 隠蔽し続けることはできない「日本の現実」

4.希望の灯をどうともすのか
 分断の世界から対話とリスペクトと相互の尊重・寛容へ
 歴史上初めて「個人の尊厳」を掲げた一大市民運動が
 憲法の理念に市民運動の意識が追いついた
 憲法に生命を吹き込むことに失敗した戦後の日本人
 国力とは経済力や軍事力ではない
 日本固有の市民社会を手作りで
 私たち自身が希望を捨てることなく

内田樹、石川康宏、冨田宏治/鼎談
日本機関紙出版センター

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