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2016年10月31日 (月)

社会主義のドイツ―その社会と文化―

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1981年4月の刊行で、この時期は、日本と外交関係が成立した1973年5月15日から8年後、壁が崩壊する8年半前である。
したがって内容は、今から見れば、何を根拠としてこうした評価が行われたのだろうかと疑問を抱いてしまう記述もある。
各テーマごとにそのテーマに関係する人が書いているので、執筆にあたっては、単に聞いたり見たりしたことをそのまま記述したのではなく、それなりの調査をしているものと思うが、今から見ると、やはり一面的ではある。
1953年のベルリン暴動にも触れてはいるが、掘り下げはない。
壁については、「西ドイツからの経済的・政治的撹乱の策動に対抗するために」建設され「社会主義経済の主体的建設の阻害要因が取り除かれた」(P.115)、「『ベルリンの壁』を築き、こうした外部からの挑発活動を封殺する断固とした自衛措置をとった」(P.143)、「・・・この状況において、東ドイツはやむをえず「ベルリンの壁」建設に踏み切ったのである」(P.226)と、それぞれ執筆者は異なるが、いずれも「反ファシズム防壁」の立場である。
友好協会の編纂であるから、いかにDDRを理解してもらうかが、底にあるのだろう。
だが、そうした記述であるからこそ、DDRが存在しなくなった現代で、本書の歴史文書的価値があるのだともいえる。

「華ひらくドイツの社会主義文化」のベルリン国立歌劇場の記述のなかに、ハリー・クプファー(Harry Kupfer)が出てくる。
クプファーは、1992年にアン・デア・ウィーン劇場で上演されたピアさま主演の「エリザベート」の演出をした人であり、2015年のM!再演の新演出もクプファーだ。
筆者が1970年代にベルリンを訪れたときにベルリン国立歌劇場で上演されていたのがR・シュトラウスの「サロメ」、これを演出したのがクプファーだったとのことだ。
当時クプファーはドレスデン州立歌劇場にいたのだが、1981年にベルリン・コーミッシェ・オーパーのチーフ演出家となったことも紹介されている。(P.65~P.71)
2007年のダニエル・バレンボイム指揮、ベルリン国立歌劇場の来日公演「Tristan und Isolde」が、クプファー演出だった。

はじめに
I DDRという国 その一
 国民の新しい生活様式
 華ひらくドイツの社会主義文化
 政治と経済の現実
II DDRという国 その二
 都市・遺史跡めぐり
 大学・研究所案内
III 過去と現在――歴史の流れの中で
 ドイツ民族の千年
 ドイツ・ファシズムと第二次大戦
 反ファシズム抵抗闘争の発展と遺産
 東西ドイツ関係小史
日本・DDR関係の発展――経済・文化を中心に
日本とDDRの友好運動
資料
あとがき

日本ドイツ民主共和国友好協会/編
大月書店

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