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2016年8月16日 (火)

「日独交流150年の軌跡」論文集

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本書は、ドイツでの「遠来の友―日独修好150周年記念展覧会」展覧会で発行された論文集の邦訳で、50本以上の論文が収録されている。
「遠来の友―日独修好150周年記念展覧会」は、2011年の日独修好150年を記念して、ドイツのライス・エンゲルンホルン博物館(マンハイム)で開催された展覧会である。
ある意味では昨年日本で開催された「ドイツと日本を結ぶもの-日独修好150年の歴史-」展(2015年7月7日~9月6日:国立歴史民俗博物館、2015年9月19日~11月29日:長崎歴史文化博物館、2015年12月9日~2016年1月24日:鳴門市ドイツ館、2016年2月3日~4月10日:横浜開港資料館)と対になる展覧会であろう。

これだけの数なので、興味を引くものやそうでもないもの、多々である。
そのなかで、第一次世界大戦におけるドイツ俘虜と日本、また、ドイツ民主共和国と日本をテーマとして書かれた論文はそれぞれ1本(テーマは異なるが俘虜にふれている論文は他にある)と少ないのが、個人的にはちょっとざんねんではある。
また、第二次世界大戦後のドイツの歩みと日本の歩みとの比較に関する論文は、問題提起をしているといえるのだが、最近のさまざまな情勢に対する日独の対応の違いとも関連しているので、深い掘り下げは行われていない。
そして、2011年3月11日をめぐるドイツの動きについては、幾つかの論文で触れているが、いずれもドイツ人執筆者によるもので、日本人執筆者による日本が当時のドイツの動きをどう受け止めたかについての論文はない。
このあたりのテーマは、ジャーナリズム論的にも比較文明論的にもおもしろいとは思うのだが、誰かがてがけているのだろうか。

ご挨拶/フォルカー・シュタンツェル(駐日ドイツ連邦共和国大使)
『日独交流150年の軌跡』出版に寄せて/古森重隆(全国日独協会連合会、公益財団法人日独協会会長)
『日独交流150年の軌跡』出版に寄せて/ルプレヒト・フォンドラン(独日協会連合会会長)・ハインリヒ・ゼーマン(元駐インドネシア ドイツ連邦共和国大使、2005/06年日本におけるドイツ年特別大使)
1 日独交流の嚆矢
 1.1 オイレンブルク使節団と日独関係の樹立/ペーター・パンツァー
 1.2 将軍への贈り物―徳川記念財団所蔵のプロイセン王立磁器製作所(KPM)製リトファニーについて/中村尚明
 1.3 プロイセンにおける竹内便節団―ドイツの地を踏んだ最初の日本人/ロルフ=ハラルド・ヴィッピヒ
 1.4 ハンザ諸都市と日本/レギーネ・マティアス
 1.5 戊辰戦争とプロイセン/箱石大
 1.6 第一次世界大戦以前の独日貿易/カティヤ・シュミットポット
2 日独交流の黄金時代
 2.1 日独関係の「黄金時代」/スヴェン・サーラ
 2.2 ドイツに目を開いた日本―エッセンとベルリンにおける岩倉使節団/久米邦貞
 2.3 青木周蔵―ドイツと日本の橋渡しをした外交官/ニクラス・サルム=ライファーシャイト伯爵
 2.4 明治憲法の制定とドイツの影響/瀧井一博
 2.5 ヤコブ・メッケル少佐―お雇い外国人、プロイセン参謀将校/トビアス・エルンスト・エシュケ
 2.6 行進曲と神々の煌めき―日本の西洋音楽の草創期におけるドイツの役割/マティアス・ヒルシュフェルド
 2.7 自然科学と技術分野における日独の学問移転:第一次世界大戦まで/エーリッヒ・パウアー
 2.8 ドイツを模範とした日本の医学/フランク・ケーザー
 2.9 エルヴィン・ベルツ―日本近代医学の父/スザンネ・ゲルマン
 2.10 森鷗外と独日文化の橋渡し役/ベアーテ・ヴォンデ
 2.11 ドイツにおけるジャポニスム―芸術と好奇心の間にある日本への熱狂/ペーター・パンツァー
 2.12 日本の俘虜収容所における青島の守備兵たち/ゲルハルト・クレープス
 2.13 明治日本はドイツだけを手本としていたのか/ハインリヒ・ゼーマン
3 学術交流・日本研究
 3.1 ドイツにおける日本学・日本研究/ヴォルフガング・サイフェルト
 3.2 ヴァレニウス、カロン、ケンペル―シーボルト以前にヨーロッパにおける日本理解を深めた人々/デートレフ・ハーバーラント
 3.3 フィリップ・フランツ・フォン・シーボルトと日本開国への影響/コンスタンティン・フォン・ブランデンシュタイン=ツェッペリン
 3.4 ルール大学ボーフムのシーボルト・アーカイブズ/レギーネ・マティアス
 3.5 呉秀三のシーボルト研究/宮坂正英
 3.6 世紀転換期の日本人によるドイツ像―1900年から1902年のベルリンにおける巌谷季雄/ハルトムート・ヴァールラーヴェンス
 3.7 日独学術交流の再出発―2人のノーベル賞受賞者アルベルト・アインシュタインとフリッツ・ハーバー/エーリッヒ・パウアー
 3.8 ドイツ東洋文化研究協会(OAG)スヴェン・サーラクリスティアン・W.シュパングロルフ=ハラルド・ヴィッピヒ
 3.9 グラッシ民族学博物館所蔵の徳川家の能面―旧ドイツ東洋文化研究協会コレクショントム・グリグル
 3.10 ボン大学日本・韓国研究専攻所蔵のトラウツ・コレクション/ラインハルト・ツェルナー
4 ヴェルサイユ条約から第二次世界大戦まで
 4.1 両大戦の間―ヴェルサイユ条約から日独同盟、そして総力戦/へテオ・ゾンマー
 4.2 第一次世界大戦後のドイツ国境画定問題と日本委員/宮田奈々
 4.3 ヴィルヘルム・ゾルフ―第一次世界大戦後の初代駐日ドイツ大使/フランク・ケーザー
 4.4 ハンス・パーシェと日本―国境を越えたつながりの物語/小田博志
 4.5 ドイツ哲学と近代日本/平山洋
 4.6 ドイツ語が輝いたとき―大正・昭和戦前期の旧制高等学校におけるドイツの言語と文化の影響/田中祐介
 4.7 日本から見た防共協定/田嶋信雄
 4.8 1939年の「伯林日本古美術展覧会」について―開催経緯と日独双方の思惑/安松みゆき
 4.9 「武士の娘」(邦題:新しき土)―日独合作映画で交わる芸術とプロパガンダ/ジャニーヌ・ハンセン
 4.10 リヒャルト・シュトラウス―大管弦楽のための日本の皇紀二千六百年に寄せる祝典曲/イングリッド・ブリッチュ
 4.11 杉原千畝とユダヤ人迫害問題―反ユダヤ人種政策への同調を拒否した日本/ハインツ・エーバーハルト・マウル
5 戦後の日本とドイツ
 5.1 辿ってきたのは同じ道のりか―第二次世界大戦後・ドイツと日本、その復興の歩み/ハインリヒ・ゼーマン
 5.2 「過去の克服」―ドイツと日本を分ける要因/石田勇治
 5.3 コンラート・アデナウアーの訪日―政治と文化の視点から見たある旅の記録/ホルガー・レッテル
 5.4 日本とドイツ民主共和国(1973-1989年)/ペーター・パンツァー
 5.5 日独関係の歴史と日独協会の歩み/黒川剛
 5.6 雨天の友―独日協会と協会の課題/ルプレヒト・フォンドラン
 5.7 ドイツにおける日本の武道の伝播と育成/ダヴィッド・ベンダー
 5.8 マンガに見る「ドイツ」―パロディ・ツールとしての役割/ジャクリーヌ・ベルント
6 未来へ
 6.1 将来の日独アジェンダに取り上げるべきものは何か/ルプレヒト・フォンドラン
 6.2 財団法人ベルリン日独センター/フリデリーケ・ボッセ
 6.3 日本とドイツ―学術・科学技術協力/ハンス=エルク・シュテーレ
 6.4日 本とドイツ―われわれの経済協力のための課題/ユリア・ホルマン
図版一覧
あとがき
執筆者・翻訳者一覧

日独交流史編集委員会/編
雄松堂書店

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