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2016年7月12日 (火)

アウシュビッツへの旅

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長田さんがヨーロッパに行ったのは、1971年9月のソ連東欧、1972年5月6月のスペインや西欧で、長田さんがまだ30代なかばになろうとする時期、アメリカに行っていた時期、スペインのFranquismo体制が終わり民主主義を取り戻すまでさらに10年を待たなければならなかった頃のことだ。
その旅をふまえて、本書は1973年2月25日に刊行された。
やはり、文章はまだかたいが、長田さんの社会を世界を見つめる視線の、原点とも言える旅かもしれない。
それにしても長田さんがこれらの地を歩いたのは、できごとがあってから三十数年後のこと。
そして長田さんが歩いた後の年月は、すでにそのことがあった後に長田さんが歩くことにした年月をはるかに超えている。
そのぶん、そのことは忘却されてしまったのか、それとも地下水脈として綿々と流れ続けているのか。

「カタロニア幻想行」と「墓地-死後の生」が最後に「アウシュビッツにて」に結実する構成になっている。
オーウェル、ロルカ、ベンヤミン、ニザン、パステルナークの足跡を追う長田さん。
1970年代初めの頃、ソ連や東欧は、自分の意思でどこまで歩けたのだろうか。

「スペイン市民戦争」をめぐっては学生時代、長田さんがスペインを訪れた少し後にあれこれの文献をあさり論文を書いたことがある。
以後さまざまなあらたな文献も出ているので、当時の考え方や判断が改められるべきところもあるかもしれない。

スペインといえば、数年前になるが「壁の中の妖精」という舞台を見たことがある。
フランコ将軍率いる叛乱軍が、スペイン第二共和国人民戦線政府を倒してから30年間、スペインの村で隠れ住んだ実在の人物を題材にした一人芝居である。

カタロニア幻想行
 1 アラゴンへ
 2 誰れが革命を殺したか
 3 アルカラの丘
 4 ウェスカのコーヒー
墓地-死後の生
 1 ヴィスナールに死す
 2 国境の墓
 3 オードリュイックまで
 4 ベルジェルキーノ
アウシュビッツにて

長田弘/著
中央公論社

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