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2015年1月16日 (金)

実践的唯物論への道―人類生存の哲学を求めて

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芝田進午氏の著作は、かつて学生時代に「人間性と人格の理論」を何度も読み返していたが、晩年の頃の氏については、予研の移転に反対する裁判〜バイオハザードにかかわっていたことを耳にした程度であった。
2001年3月14日、没。
遺書となった本書(2001年9月刊行)で、数十年ぶりに著者の思想や実践にふれてみることにした。
あらためて、氏の真摯さ、誠実さにふれる思いがした。

平田哲男氏、三階徹氏、平川俊彦氏の三氏による芝田進午氏へのインタビューで構成されている。
個々の発言では、インタビュアーは明示されていない。
陸軍幼年学校に入った軍国少年であった頃のことから始まり、氏の著作物をひもとき、インタビュー時点で著作物を評価するとともに、ベトナムとの連帯、核の問題、予研闘争などの実践をふりかえりながら、氏の軌跡をたどっていく。
本書のサブタイトルは、氏が最後にたどりついた、「人類生存の哲学を求めて」である。
署名を「人類生存のための新しい哲学について」にすることが氏の希望であったが、それは、サブタイトル及び最終章のタイトル『「人類生存のための哲学」の提唱』となっている。
没して10年後の東日本大震災、そしてフランスでの事件、あらためて「人類生存のための哲学」を考えずにいられない。

以外だったのは、「人間性と人格の理論」について、氏自身は「もう生命力を失ったと思」う(P.293)と自らおっしゃっていること。
さすがにインタビュアーも「意義があります。(略)生命力がなくなった、というのは謙遜がすぎます。といいますより、間違っているのではないでしょうか。」と反論している。
氏がなぜ「もう生命力を失ったと思」ったのかはよくわからないが、ソ連評価であったり、「現実がどんどん変わってしまうと、それを例証とし依拠してきた理論というものは陳腐化」する(P.295)との認識からのようだ。

武谷三段階論との関係では、「講座・マルクス主義哲学」の編集にタッチしたことを紹介しているなかの153ページに、「武谷三段階論をいかにして止揚するかというかたちで認識過程論を構成すること」が、芝田氏が執筆した3巻「現代科学と唯物論」のねらいのひとつだとされている。
後に「実践的唯物論の根本問題」に収録されている。
また、予研闘争の中で、武谷氏の「安全性の考え方」に非常に教えられたと、評価している。

氏が主宰した「マルクス主義セミナー」(後に「社会科学研究セミナー」)のゲスト講師の中に、乾孝さん、良知力さん、中野良夫さんたちの名前をみつけた。
また、アリス・ハーズさんやサマヴィルさんの名前も、久しぶりに思いだすことができた。

Ⅰ 「実践的唯物論」への助走
Ⅱ 「実践的唯物論」の形成と展開
Ⅲ 「実践的唯物論」による実践と理論的探究 一
Ⅳ 「実践的唯物論」による実践と理論的探究 二
Ⅴ 核時代・バイオ時代における「実践的唯物論」の課題
編者あとがき
北米旅行報告
著者目録
略年譜

芝田進午/著
青木書店

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