チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷
塩野さんはなぜ、このようなどーしようもない男について書こうと考えたのだろうか。
本書の刊行は1970年、まだいまのようなリーダー志向的な塩野さんではなかったと思うのだが。
マキャベッリとチェーザレとの関係の取り方は、後の「君主論」を考えれば意味があるのだが、それよりもレオナルド・ダ・ヴィンチとチェーザレとの関係、それもレオナルド・ダ・ヴィンチからチェーザレを見たとき、もうひとつの物語が生まれるのではないかと思った。
しかし、いくらなんでもそれはないだろうと思うのが、チェーザレは10代にして枢機卿まで任ぜられていること。
1475年9月 出生
1483年3月 8歳、教皇庁書記長就任
1483年7月 8歳、バレンシア大聖堂司教座聖堂参事会員就任
1483年8月 8歳、ガンディア司祭就任
1484年9月 9歳、カルタヘナ大聖堂管財官及びタラゴナ大聖堂司教座聖堂参事会員就任
1491年9月 16歳、パンプローナ司教就任
1492年 17歳、バレンシア大司教就任
1493年9月 18歳、バレンシア枢機卿就任
ローマ教皇(塩野さんは、今も「法王」を使っているのか?)の当時の俗物性を物語っているだけなのだろうが。
塩野七生
新潮社
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