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2013年7月14日 (日)

思想を織る

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武谷三男氏の「三段階論」から「特権と人権」への思索のプロセスが語られる。
「自伝ではない」ということだが、限りなく自伝的である。

三段階論とは、「人間の自然認識は現象論、実体論、本質論の3段階を経て発展する」との考え方である。
現象論的段階:現象や実験結果などの個別的な知識を集める段階:ex.エジプトやバビロニアにおける天体観測
実体論的段階:現象を生起せしめる実体的な構造を知り、それにもとづいて現象の法則性を説明する段階:ex.天動説、地動説、楕円軌道説
本質論的段階:さまざまな実体の相互作用の法則を解明する段階:ex.ニュートンの法則
とされる。

そして、技術論においては、「技術とは人間実践(生産的実践)における客観的法則性の意識的適用」とする。

許容量や安全性、特権と人権についての、武谷氏の提起を要約してみる。

放射線は、どんなに微量であっても人体に悪い影響をあたえるが、レントゲン検査のようにこれを使うことによって有利なこともあり、また使わざるを得ないということもある。
有害さとひきかえに有利さを得るバランスを考えて、「どこまで有害さをがまんするかの量」が、許容量である。
つまり、許容量とは、利益と不利益のバランスをはかる社会的な概念である。

日本では公共の福祉のために基本的人権を制限する方向でのみ公共という言葉が横行していが、本来公共の福祉のために制限さるべきことは「特権」であり「人権」ではない。
基本的人権を守るためにこそ公共の福祉があり、それこそが「安全の哲学」の根本である。

ほかの著作からも何度も確認することになりそうだ。

1985年刊行。
2000年4月22日死去。

目次
1 育んだ土壌
2 思想へのあこがれ
3 三段階論と湯川理論
4 『世界文化』
5 技術論、素粒子論、原爆研究
6 敗戦とともに
7 素粒子、宇宙の研究と方法論
8 『科学者の心配』から『特権と人権』の論理へ

武谷三男/著
朝日新聞社

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