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2013年4月14日 (日)

ドナウ・ヨーロッパ史

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ドナウ川はドイツのSchwarzwald(黒い森)から東に流れ、ドイツ、オーストリア、スロバキア、ハンガリー、クロアチア、セルビア、ルーマニア、ブルガリア、モルドバ、ウクライナを抜けて黒海に注ぐ2800kmを超える長さの大河である。
本書は編者によって『ドナウ川に面した、あるいはそれに密接に関連した地域の歴史を「ドナウ・ヨーロッパ史」として記述するものである』と定義づけられた、オーストリア、ハンガリー、チェコ、スロヴァキア全体の地域史である。
このエリア全体の歴史ごとに章立てされ、そのなかでそれぞれの地域のことが記述される。

地域はハプスブルク帝国とかなり重なるが、ハプスブルク帝国の歴史であれば第一次世界大戦終結とともに帝国は解体するのでそこで終わってしまうけれども、「ドナウ・ヨーロッパ」という概念で記述されているので、帝国が解体したのちの歴史も含まれており、連続した歴史を概観することができる。
章によって記述者が違うが、記述はおおむね淡々としており、波乱万丈、血沸き肉躍るような歴史記述ではないので、人によっては評価の別れ目かもしれない。
また、ある記述について、このできごとについて、たったこれっだけの記述でいいのか?、というような思いも浮かぶ。
しかし「地域の通史」と考えれば、特定の国や人物などに特段の思い入れをしていないというのは頷ける。

ただ、記述に関連する図版等が別ページに掲載されていることもあるので、ページをめくって出てくる図版のことを確認するために、ページを戻らなければならないことがある。
図版と記述のページは揃えていただくか、記述中に「○ページに図版あり」などの注意書きがあるとよい。
巻末の「参考文献」には日本に限らず多くの文献と簡単な解説があり、次に読み進むうえで役立つ。

目次
序章 ドナウ川の繋ぐ世界/南塚信吾
第一章 ドナウ・ヨーロッパの形成/薩摩秀登
第二章 繁栄と危機/鈴木広和
第三章 ハプスブルクとオスマン/戸谷浩
第四章 ハプスブルク家支配の確立/稲野強
第五章 「長い十九世紀」の分水嶺/篠原琢
第六章 二重制の時代/小沢弘明
第七章 第一次世界大戦と国民国家の形成/林忠行
第八章 第二次世界大戦と民主主義/南塚信吾
第九章 冷戦の時代/家田修
第十章 新しいドナウ地域/南塚信吾・林忠行
付録 索引/年表/参考文献/王家系図/歴代元首一覧/写真引用一覧/地名対照地図

南塚信吾/編
山川出版社

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