« 東日本大震災 追悼・復興祈願祭 ~3・11 建長寺 1年目の祈り~ | トップページ | 木村伊兵衛と土門拳/写真とその生涯 »

2012年3月12日 (月)

なぜマルクスは正しかったのか

Books166
原題は「Why Marx Was Right」、まさか、「なぜマルクスは右だったか」ではないよね。
それと「?」がついていないのは、それこそ「Why?」である。

10の疑問反論に答える構成で、その10の疑問反論はいくつかのセンテンスで綴られているのだが、それを次のようにまとめてみた。

1.マルクス主義は、世界が「グッド(『よい』と『商品(財/富)』」な方向に進んだことを受け容れるのが怖いか、勘違いをしている
2.社会主義がもたらすのは自由の欠如、物質的富の欠如
3.マルクス主義は一種の決定論
4.マルクス主義はユートピアの夢
5.マルクス主義は経済決定論
6.マルクスは唯物論者で、マルクス主義はわびしくて卑しい人間観
7.マルクス主義の階級に対するウンザリするぐらいのこだわりは時代遅れ
8.マルクス主義は暴力的政治活動を提唱し目的は手段を正当化している
9.マルクス主義は血からみなぎる全能の国家を信じ、個人主義的自由を終わらせるだろう
10.過去40年間に起きたラジカルな政治活動(フェミニズム、環境保護、ゲイや民族独立の政治、動物の権利、反グローバリーゼーション、平和運動)はどれもマルクス主義の外側で生まれた

社会主義にせよ剰余価値学説にせよ唯物論にせよ、その前史があるわけで、決してマルクスからスタートしたのではないし、ソ連・東欧の崩壊は、「社会主義国家」の自壊ではあっても、資本主義の社会主義に対するアプリオリな勝利というわけではないのだが、十把一絡げに「マルクスの終焉」とする世間に対して「いいや、そうではないんだよ」と。
本書で、これらの疑念にこたえられているかどうかは、正直、よくわからない。
というのも、本書の翻訳がマイナスなのである。
一文を二度読みしないと、言わんとしていることがわからないのと、日本語の文章としても読みにくい。
他のレビューによれば、語訳もたくさんあるようだ。

ところで、イギリス国教会のエオーワン・ウィリアムズ(Rowan Williams)・カンタベリー大主教が、2008年9月にイギリスの雑誌「スペクテーター」で、「マルクスは正しかった」と言ったことがあった。
これの4ページ目の最後のセクション中にある。
引用すれば・・・
Fundamentalism is a religious word, not inappropriate to the nature of the problem. Marx long ago observed the way in which unbridled capitalism became a kind of mythology, ascribing reality, power and agency to things that had no life in themselves; he was right about that, if about little else.
ここまで・・・
これは、日本共産党の機関紙「赤旗」でも紹介された。

テリー・イーグルトン著
松本潤一郎訳
河出書房新社

|

« 東日本大震災 追悼・復興祈願祭 ~3・11 建長寺 1年目の祈り~ | トップページ | 木村伊兵衛と土門拳/写真とその生涯 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: なぜマルクスは正しかったのか:

« 東日本大震災 追悼・復興祈願祭 ~3・11 建長寺 1年目の祈り~ | トップページ | 木村伊兵衛と土門拳/写真とその生涯 »